イキトス(アマゾン)(1)〜南米のアジア?

(7月9日)

早朝、リマからペルー北東部の町イキトスへひとっ飛び。アマゾンと言うとブラジルのイメージが強いですが、ブラジルを流れるアマゾンは川の下流で、アマゾンの上流はエクアドル、ペルー、ボリビアで楽しむことができます。エクアドルのアマゾンはややマイナー、ボリビアのアマゾンはかなりワイルドだが設備が整っていない傾向、ということで、安全そうで私たちが好きなナマケモノに会うこともできるペルーのアマゾンを選びました。イキトスは、ペルーのアマゾンへの玄関口となる町です。

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(ローカル感あふれるイキトスの空港)

この町で一泊し、明日から二泊三日のアマゾンツアーに参加します。

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(町の移動はモトタクシーで。安全な町ですが、モトタクシーの後ろに積んだ荷物は持っていかれないように一応押さえた方がいいらしい)

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(ごちゃごちゃと活気のある街並み)

ここは、アジアのよう印象を与える町です。暑くてじめじめしており、日焼けした人々がバイクとモトタクシーで行き交う、店頭には米とアマゾンでとれた魚が積まれている。。土地の特徴は町の雰囲気に大きく影響するのですね。

ペルーでの注意点は、まとまったお金の引き出しに苦労すること。銀行ATMは一日の引き出し限度額に制限があり、ツアー代の支払い等に必要な多額の現金をまとめて引き出すことができません。ペルーに長期間旅行する方は、キャッシュを持ち込むか、現地で銀行窓口に行ってキャッシュを引き出すことをお勧めします。

イキトスの宿

Hotel Parthenon

ツアー会社のディスカウントレートで泊まったホテルパルテノン。ディスカウントで一泊50ドルでした。部屋は狭いものの、設備はまあまあ、ロビーでWifiが使え、50ドルならこんなものかなという気もします。しかし、市街から少し離れておりモトタクシーを使う必要あり、夕食が高いわりにたいして美味しくないという問題も。さらに、現地の子供達が合宿でこの宿を使っており、子供達がわらわらと泊まっているフロアの真ん中に私たちの部屋があったため、夜も朝もまわりがうるさく、これには閉口しました。もう一度泊まりたいかと言われたら、、別の宿にしますかね。

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(ホテルパルテノンだけあって、ロビーにギリシャ風の彫刻がある。ネタとしては良し!)

リマ(1)〜とりあえず、トランジットで一泊だけ

(7月8日)

さて、メキシコシティから(大好きな)LAN航空で飛ぶこと数時間、南米の玄関口リマのホルヘ・チャベス国際空港に到着です。このチャベスは有名なパイロットの名前で、亡くなったベネズエラの大統領とは関係ありません。

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(空港の到着ゲート外。以後、何回かこの空港を使っていますが、いつ来てもこの空港の到着ゲート外の客引き・迎えの人の数の多さは他の空港と比べて突出しています。この写真は人混みの一部しかとらえられていないので、迫力は伝わりにくいと思いますけど、、)

リマに到着したのは夜で、翌朝にはペルー北東部にあるイキトスに向かいます。

本日の宿

Hostal Victor Lima - Airport Hostel

こちらの宿は、国際空港から車で約10分です。一泊45ドル、タクシーが往復約20ドルで、あわせて65ドルで滞在できることになります。

リマの市街は空港から車で片道30〜40分の場所にあり、結構遠いです。ですので、夜遅くに空港について、翌朝早くに飛び立つ場合、リマ市街まで行くのは時間がかかって面倒だし交通費がかさむのももったいないし、どうしようかということになります。そこで、空港近くで、プライベートルームがあり、ホットシャワーが出て、値段が安いところ、を探すとこの宿になりました。

設備は値段に見合ったものでたいしたことないですが、清潔でしっかりとホットシャワーも出て部屋でWifiも使えるので、良いと思います。私たちは、結局このホステルに3回泊まりました。ただ、トイレの水回りの設備が老朽化していて水が出ないことがあり、その時は宿主のアンディにクレームして部屋をかえてもらいました。宿を切り盛りしているアンディはとても良い男なのですが、水まわりにはもう少し投資した方がいいかも、、。また、宿のまわりは見るからに治安が悪そうな感じなので、タクシーで移動した方が良さそうです。

またリマに行くことが将来あれば、その時はこちらの空港内のホテルに泊まってみたいものです。めっちゃ高いですけど。

メキシコシティ(4)〜お金を出せば良い宿に泊まれる

(7月7日)

6日間のキューバ滞在を終え、ペルーに行くトランジットのためにメキシコシティに戻ってきました。

メキシコシティの空港にキューバから戻って来た感想は、「メキシコはモノが溢れる先進国!」。キューバのモノがない世界に慣れると、空港の免税店やセブンイレブンのモノの溢れっぷりにすら圧倒されます。そういえば、10日ぐらい前にはじめてメキシコシティに来た時は、どきどきしながら航空でキューバで使う保険を購入したな、など、すでに妙に懐かしさを醸し出すメキシコシティでした。

(7月8日)

昨晩は良い宿に泊まって休憩し、今日の午後便でペルーにリマに向かいます。少し時間があるからメキシコシティでやり残した観光でもしようかと思ったのですが、腹が痛くなったり、キューバでたまった大量の洗濯物をしたら手に穴があいたりといろいろアクシデントがあり、あまり観光らしい観光はできませんでした。ソカロにある宮殿にだけでも入りたいと思ったのですが、なぜか今回も宮殿は開いておらず。私たちには宮殿運はなかったようです。

というわけで、LAN航空でペルーのリマに向かいます。いざ!

7月7日の宿

Hampton Inn & Suites Mexico City - Centro Historico

一泊百USドル以上しましたが、これまでの安宿の疲れを癒すには良い宿でした。ソカロの中心地まで非常に近い、部屋は広くはないものの調度品は質が高い、朝食がなかなか良い(卵、ソーセージ、タコス、ヨーグルト、フルーツなど)、と、大満足の三ツ星ホテルでした。Tripadvisorで評価が高い(メキシコシティの宿でトップ10に入る)のは、国際的なチェーンホテルに比べてコストパフォーマンスが良いからでしょう。メキシコシティでリーズナブルな良いホテルをお探しの方には、迷いなくお勧めできるホテルです。同じお金を出せば、ホステルに三泊できますけどね。

しかし、このホテルで呼んだ空港までのタクシーは200メキシコペソ。ホテルからとても近い場所にある前回泊まったホステルで呼んでもらったタクシーは120メキシコペソ。タクシーのクオリティも距離も大して変わらないのに、何で空港までのタクシー代がこんなに違うのか?これが、ホテルプレミアムということなんですかねえ。

ハバナ(3)〜キューバ総集編〜豊かなキューバの実現を願いつつ

(7月7日)

出発の日、最後までやらかしてくれるRoberto

今日はキューバを発つ日、朝はMuseo del Chocolateでアイスココアを飲み、宿を出ます。

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(Museo del Chocolate(チョコレート博物館)というお店の店内。ここのアイスココアは美味しい上に0.2CUCぐらいと激安なので、おすすめです。他の観光客向けのお店はもう少し値段が上なのですが、なぜこのお店だけこんなに値段設定が低いのでしょうか。よくわかりませんが、美味しいです)

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(青い空、いよいよキューバともお別れです)

さて、最終日にRobertoがまたやらかしてくれました。初日に英語が堪能でおしゃべり好きのタクシードライバーがいたということを書きましたが、私は彼にもう一度会って、いろいろと質問がしたかったので、トリニダーに行く前に、Robertoに彼を手配するようにお願いしていました。「空港から宿に来る時のタクシードライバーをお前知ってるか?英語ができるやつ」「知ってる知ってる」「彼を空港まで行く時に呼んでくれないか?あと、空港に行く前に老人と海の舞台になったコヒマルに寄りたいんだけど」「そうだな、、80CUCだな」「80CUC?それは高いな」「でも、彼は英語もうまいし、エアコンのついたアメリカカーだぞ」「うーん、そうだな。わかった」

80CUCは高いけれども、あのタクシードライバーの見識の深さと英語力は旅行中で随一だったし、エアコンのついた最新車は1時間のチャーターで20CUC〜30CUCかかってもおかしくないのえ、コヒマルを経由して空港に行くというプランは3時間ぐらいかかるかなと考えたので、これぐらいかかってもやむを得ないと判断しました。

さて、トリニダーからハバナに戻ってきた昨日。Robertoは不在で、英語のできない奥さんから確認されます。「タクシー、80CUC、OK?」「OKOK」ちょっとここで、ちゃんと初日のタクシードライバーが呼ばれているのか不安がよぎりますが、彼女は英語ができないのでそんな複雑なことは確認できません

で、いよいよ本日現れたタクシーは、、、あーー!!

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(Roberto、俺が呼んだのはクラシックカーじゃないよ!)

そんなわけで、私たちの80CUCは英語堪能なおじさんへの質問料ではなく、素晴らしいクラシックカーのチャーター代に使われることになりました。この出発の日にもRobertoはいなかったので、Robertoにクレームできず。いつもリビングでDVDを見ているくせに、逃げたか!トリニダーへの出発前に話した時は彼は間違いなくこちらのリクエストを理解していたので、一晩寝たら忘れてしまったのでしょうねえ、、。Roberto、適当だな、、、。初日のタクシードライバーのおじさんに、いっぱい質問したかったんだけどな。。。無念。

ヘミングウェイ博物館で、キューバイズムの駄目押し

さて気をとりなおし、クラシックカーでハバナを出発。まずは老人と海の舞台、コヒマルへ!

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(「老人と海」の舞台になったコヒマル。ヘミングウェイの胸像)

個人的にはヘミングウェイにも老人と海にもそれほど思い入れがないのですが、妻が来たがりまして、、。で、海辺でお金を欲しがる現地のおじさんを退けつつ、(妻が)写真を撮るわけであります。

続いて、クラシックカーはヘミングウェイ博物館へ。

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(ヘミングウェイ博物館)

ここは、ヘミングウェイが住んでいた家で、いまは博物館として公開されています。ヘミングウェイは旅行好きだったようで、アフリカで猟りをした剥製が家の中に飾られていたりして、昔の欧米の富裕層はこんなことをしたんだなあということがわかったりして面白いです。

この博物館では、入場する時に一波乱。車で門の前までぶーんと到着するも、門が開いておらず。中からおばさんが出てきて言うには、「今日は定休日で開いていないのよ。でも、ふたりで30CUC払ってくれたら中を見せられるわよ」。何、休みだと!?(実際には、タクシードライバーのお兄さんが通訳してくれた)ガイドブックには無休と書いてあるけれど。。しかも、30CUC?ガイドブックによるとふたりで10CUCなのに、いくらなんでも高すぎだろ。というわけで拒否すると、ふたりで15CUCに値下げ。ずいぶんあっさり値下げするな、せっかく来たし、15CUCならいいか。というわけで、15CUCを支払い中に入れてもらうと、中にはばっちりと解説員のおじさんが待機していて丁寧に博物館中を案内してくれます。定休日のわりに、ずいぶんと用意が整っているな、と思っていたところ、案内が終わりに近づいたところで突然焦りだすおじさん。「向こうから監視しているやつがいるから、出口まで走るんだ!」え、なになにこれは映画ですか!!???

実際はここまで緊迫していたわけではありませんが、おじさんから監視している人がいるから走って出口まで行くようにと促されたのは事実です。博物館から出た後、タクシードライバーのお兄ちゃんが言うには、「ここはキューバだから、お金を払えばたいがいのことは(休みでも)できるんだよ」

思い返してみると、いったいどこからどこまでが本当で、どこからがお金で解決されているのか、謎すぎます。もしかしたら休みではないのに休みと偽られたのかもしれないし、監視員がいても監視員ともお金で結託していて問題なかったのかもしれないし、、、。最後の最後で、社会主義の真髄を見た気分です。

ちなみに、ハバナ→コヒマル→ヘミングウェイ博物館→空港、というルートの所要時間は2時間程度です。3時間を見込んで80CUCは払い過ぎでしたので、今後同ルートをとる方は参考にしてください。

さようなら、不思議の国キューバ〜キューバのまとめ

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(がらーんとした空港)

そんなわけで、不思議の国キューバともお別れです。行きと同じく、メキシコのInterjetでメキシコシティに帰ります。

ああ、本当にキューバは不思議な国だった。。帰国後に振り返ってみると、2ヶ月の中南米旅行で特に良かったところを3つあげるならば、キューバ、マチュピチュ(ペルー)、ガラパゴスエクアドル)です。キューバは、圧倒的にヒトが面白いです。ツアーでキューバに行っても古い街並みなどは楽しめると思います。しかし、キューバを深く楽しみたいなら、なるべく現地調達の旅をお勧めします。現地の人と触れれば触れるほど、不思議に国キューバを実感できるでしょう(スペイン語ができれば、なおよし!!私たちはできず残念でしたが、、)。

最後に、キューバ総集編としていくつか感じたことをまとめていきます(中南米旅行全体を通じて感じたことも入っていますがご容赦下さい)。

不条理はいつかひっくり返される

2日目に訪れた革命博物館で、世の中の不条理は必ずいつかひっくり返されるのだなと強く思いました。キューバ革命が成功した背景には、アメリカの力を背景にした当時のバティスタ政権の政治があまりにもひどく、キューバ国民の多くが食べるものにも困る状態にあったからです。当時、革命軍に協力することは非常に危険な行為であったと思いますが、失うものがなければ危険であっても不条理を変えて食べるチャンスを得るためにそのような行為に協力する人がおり、その動きが大きな流れになれば最後は不動に思われる体制もひっくり返るのだなと思いました。古今東西、永遠に続いた体制はひとつもありません。

クレイジーな少数の人々が体制をひっくり返す

では、体制をひっくり返すのはどういう人たちかと言うと、それはクレイジーな少数の人々であるわけです。革命博物館の項に書きましたが、わずか12人のゲリラがアメリカの支援を受けたバティスタ体制を倒そうというのは、常識的に考えたら狂気以外の何物でもありません。しかし、変化を許す背景があり、能力のある人々が命懸けでエネルギーを注ぎ、いくつかの偶然と運が味方をすれば、大きな変化は実現するのだと思いました。

仕事が保障されて競争がないと、人は努力しない

さて、そのような経緯で建国された現在の社会主義国キューバですが、残念ながらキューバは本当に競争力のない国です。3日目にラム酒工場で木のこん棒で瓶にフタをする風景に触れましたが、とにかくどこに行ってもキューバの生産性の低さは目に余ります。社会主義では仕事も生産計画も国からあてがわれ、人々は自分で考えて努力をするということはありません。努力をしないから生産性が落ちるのか、そもそも生産性が低くてモノをたくさん作る必要がないから努力をする必要もないのか、努力のなさと生産性の低さは鶏と卵の関係なのかもしれませんが、いずれにせよ競争がない社会では人々は改善の意欲を失い物事の生産性が著しく落ちるということだけは間違いありません。あと、マーケットメカニズムが働かずに資源配分の歪みが大きいということももちろんあります。

競争力がなく外貨を稼げない国は貧しい

競争力がなく生産性が著しく低いということは輸出をして外貨を獲得することができないということです。一方で、人々としてはどうしても欲しいものはあるわけで(さすがに、キューバでも車と石油なしで暮らしましょうという話にはなりませんし、輸入しないと食べられないものもあります)、そうすると外貨窮乏により国も国民も苦労します。それが、キューバの物不足の現実です。(キューバの場合はアメリカによる経済制裁という問題もあり、経済制裁がなければもっと豊かになれるはずという意見もありますが、感覚的には仮に経済制裁が解除されてもキューバが苦しい状態であることに変わりはなさそうです)

話はずいぶんと先に進んでしまうのですが、キューバの後、ペルー、南米の最貧国ボリビアを通った後にチリに入った時、チリは何と豊かな先進国なのだろうと思いました。チリはインフラが整っており何もかもが綺麗です(物価も高いです)。何でチリはこんなに豊かなのだろうと思った時に、ガイドのお姉さんが次のような説明をしていました。「チリには重要な産業が5つあります。鉱業、製紙業、漁業、ワイン、果物・野菜です」チリの銅、サーモン、ワインは日本にいても「あ、確かに」と思うぐらい有名です。日本では紙と果物・野菜は有名ではありませんが、チリでは製紙業が盛んで、果物や野菜も(いわゆる「南国の果物」はとれませんが)縦長な国土を生かしてリンゴやキャベツなどいろいろなものがとれるそうで、南米各国に輸出されたりしているそうです。その時に、豊かな国というのは外貨を持ってこられる国なんだなと非常にシンプルですが強く感じました

当たり前ですが、現代において良い生活をしようと思ったら、多くの国から様々なものを輸入しなければなりません。日本で言えば、石油や小麦などはもちろん、様々な原材料であったりiPhoneであったりも輸入するわけです。これは日本が外貨を稼いでいるからできることで、豊かであるとは外貨を稼ぐということと同じなんだなあと思いました(内需が大きければ稼いだ外貨をレバレッジして経済規模を大きくしやすいと思いますが、本質的には自国内で一次産業から三次産業まですべての資源を賄えないのであれば、資源の足りない分をどれだけ外貨を稼いでカバーできるかが国の豊かさのバロメータになると思います)。

キューバで社会主義が今も成り立っているのは、いくつかの特殊条件による

貧しいとはいえ、キューバでは社会主義が成り立っています。しかし、キューバで社会主義が今も成り立っているのにはいくつか背景があると思いました。

まず、アメリカが革命前に大きく投資をしていたこと。キューバでは、革命前に投資された重要な社会インフラ(例えば、初日にタクシーのおじさんが説明してくれたホテルやトンネルなど)を今でも利用しています。観光客に人気のクラシックカーも、もとをただせばアメリカが革命前に持ち込んで残していったものです。革命後のキューバには大規模な社会インフラを自前で整えて行く力はありませんので、これらの遺産があることはキューバにとってとても幸運だと言えます。

第二に、今でもキューバを支えてくれる友好国があること。昔はソ連、今でもベネズエラがキューバ経済を助けており、ソ連の支援が充実していた時代は今と比べても良い時代だったそうです。また今日においても、(先日まで反米的なチャベスが大統領をしていた)ベネズエラは非常に安価にキューバに石油を融通しているといいます。

第三に、気候が温暖で恵まれていること。温暖なら(極端な話)肌着一枚でも良いわけで、寒さ対策をしないと死んでしまう北国とは違います。また、果物が豊富にとれるので、バリエーションは少ないかもしれませんが工夫すれば飢えるということもなさそうです。

第四に、キューバの人々が陽気であること。これは案外重要だと思うのですが、キューバの人々は陽気で、音楽とダンスを愛し、お金がなくても楽しく生きて行くことを知っている人たち、、のような気がします。そうでない国がどこにあるのかと言われると困るのですが、感覚的にはこのような国民性は貧しくても楽しさを見出して何とかやっていくという意味でプラスに働いているような気がします。また、革命前のあまりにも酷い記憶が今の貧しさを我慢させる方向に働いているという要素もあるかもしれません。

裏を返せば、非効率でもやっていくには、これだけいろいろな条件が揃わないといけないとも言えます。これが社会主義の現実なのだなと思わされました。

あと、アメリカは今でもキューバに対して経済制裁を行っていますが、キューバは貧しく冷戦も終わった今アメリカに本気で楯突こうという考えもない国で、経済制裁の継続は非常に大人げない対応だと思います。キューバの人や旅行中にフロリダ在住のアメリカ人に聞いた話では、フロリダには革命前はキューバで財を成していたが革命ですべてを没収された人、また亡命キューバ人が多くいるそうで、彼らがキューバとの国交樹立や経済制裁の解除に強く反対しておりアメリカの政界においても彼らが一定の影響力を保持しているため、アメリカはキューバとの関係改善に乗り出せないのだとか。一部の人は、今でも革命により没収された資産の返還を求めているそうです。それは歴史的な背景を考えたら無理な要求(そもそも革命前のアメリカとキューバの関係が現代の感覚からしたらおかしい)だと思いますが、そのような事情で、今でもアメリカはキューバと大変仲が悪いのだそうです。

社会主義と市場経済の「共存」は難しい。キューバに行くなら早めがお勧め

さて、そんなキューバでは、フィデル・カストロの弟のラウル・カストロにより、緩やかに市場経済の導入が図られています。たとえば、こちらのEconomistの記事(有料)によれば、農業では生産量に裁量を持つ農家が現れはじめ、企業においても利益の一部を投資や従業員への還元に利用できるようになったり、管理者が裁量を持てるようになるといいます。一方で記事では、そのような市場化の進展により「失業」する可能性がある労働者から反対の声が上がっていることや、中央官僚には依然として計画経済の発想が強いことを指摘しています。

もうひとつ、記事が指摘しているのはCUCとCUPの二重経済の問題です(1日目の記事で、お金の項や丘の上のレストランの項で触れました)。観光客が使うCUCはドルと等価であり、国内で主に流通するCUPはCUCの24分の1の価値しかありません。この二重貨幣により、キューバ政府は国内で流通する「安価な物」(ここのカラクリを私はよく理解していませんが、理屈から想像すると、自給自足できるものと国家の政策上どうしても安く国民に提供したい限られたものが、「安価な物」に該当すると思われます)と、購入に外貨が必要となる「高級品」の流通を分けて管理しようとしていると考えられます。貧しいキューバで物の流れをコントロールし社会主義を維持しようとするためにとられている貨幣政策だと言えるでしょう。

しかし、私が目にした限りでもこの二重貨幣は大きな矛盾を社会に生んでいます。外国人観光客はCUCで対価を支払うので、観光客に接する人ばかりが儲かり、それ以外の人と格差が広がっているのです。キューバでは、国に雇われて単純労働に従事する人も、国の病院で働く医者も、大きく給料は変わらないそうですが、観光業に従事する人は医者を大きく上回る収入を得ることが可能です。


Cuba 2012 (BBC Documentary) - YouTube

このBBCのドキュメンタリーは、キューバ経済の問題を考える上で参考になります。途中で、医者を辞めて何でも売ります屋?を始める男性が出てきます。観光業や農業を起点にキューバでは少しずつ市場経済が広まっており、こういう人たちを相手に商売をやる方が医者よりもずっと儲かるのです。元医者のお兄さんがやっている商売は難しいことには見えず、職業に貴賎なしとはいえ、私の感覚からすると「それは頭脳という人的資本の配分としていいのか?」と思います。さらに番組の後半で、6CUCのハンバーガーを売るお店が出てきます、お店はお客さんでいっぱいです。しかし、6CUCは144CUPであり、Economistの記事によると国に雇われている人の平均月収は466CUPということですから、このハンバーガーは平均的な社会主義の世界に生きる人の月収の1/3にあたるわけです。一方にハンバーガー3個分の月給で生きる人たちがおり、一方でそのハンバーガーを喜んで食べる人たちがいる。これは、歪み以外の何物でもありません(私が初日に丘のレストランで払った6CUCのチップがあれば、お店の人はこのハンバーガーを1個食べられますね)。

キューバが豊かになろうとすれば、またベネズエラの援助が途絶えた場合に経済を独り立ちさせる必要を考えれば、市場経済の導入を進めることは避けられないと思います。しかし、市場経済の導入を進めることは、(すでに農業と観光業で得られた外貨で歪みが生じているのに見られるように)格差が生じることを認めることであり、貧しい人を社会保障で抱えきれなくなれば明確な貧困層の出現を許すことにつながります。貧困層の出現は乞食を生み、マーケットの成立は、盗品であろうと何であろうとお金に換えようという人々が現れることを意味するでしょう。したがって、国全体としては貧しいけれどもなぜか安全で陽気な国キューバ、は、変化が進むにつれて少し豊かだけどちょっと危なくて緊張感のある国になってしまうことは(方向性としては)避けられないと思います。

国家としては経済状況を好転させるために市場経済を進めるしかないことは間違いありません。その点は経済学的には議論の余地もないように思います。しかし、一観光客として非常に勝手に言わせていただくと、「ラテンな社会主義国キューバ」の面影が失われていくことは残念です。もしもこれをお読みのあなたがキューバに関心があるならば、できるだけ早くキューバを訪れることをお勧めします。キューバにおいて市場経済の導入により、社会の格差が拡大していくことはあっても、縮小することはありません。キューバに興味のあるあなた、今すぐキューバに行きましょう!(そして、キューバに外貨を落としましょう!)

また蛇足ですが、旅行中にクラシックカー同士の事故を見ました(車は二台とも大破)。クラシックカーが減ることはあっても増えることはありませんので、クラシックカー好きの方も早くキューバに旅行した方が良さそうです。

社会主義で人々は幸せか〜答えはないが、私は「社会主義には夢がない」と思う

世界には古今東西いろいろな価値観があります。例えば、(確か)古代アステカ帝国では生け贄になることは名誉で喜ばしいことだったそうですし、キューバのように単純労働者も医者も給料がほぼ同じで平等が良いという考え方だってあるわけです。私は中南米旅行を通じて、何を良しと思うか、何を幸せと感じるか、価値観は社会によって異なり、それはその社会の構成員が選ぶべきだと思う(異なる価値観を持つ他の社会の人間がどうこう強く言うべきものではない)けれども、経済的には社会システムには優劣があり、長い目で見れば経済的に劣位な社会システムは経済発展において大きく遅れをとり持続することが難しいと感じました。これは大学時代にハイエクで社会システムに関する適者生存的な考え方を学んでから考えていたことですが、今回いろいろな社会を目の当たりに見て、とても腹に落ちたことです。

社会主義が経済的には資本主義に劣位したシステムであることはソ連の崩壊を見ても明らかですが、社会主義にも良い点はあります。キューバで感心したのは、乞食がいないことです(何かと理由をつけてお金を観光客から得ようとする人はいますが、ただ「お金をくれ」と家なく道ばたで言う乞食を私は見ませんでした)。配給のみで生活をするのはかなり厳しいし、家もものによっては崩れそうなひどいものだとは言いますが(BBCのドキュメンタリーにもひどい家が出てきます)、それでも最低限の生活を政府が保障し、教育と医療を多くの国民が受けられるという点も、キューバの社会主義の良い点だと思います。

では、トータルで見た時に、キューバの社会主義は人々を幸せにしているのか。ここに答えはありませんし、人によって受け止め方は違うと思います(この質問を初日のタクシードライバーのオヤジにしたかったのですが、最終日に現れたタクシードライバーが別人だったのは上に書いた通りで、今でも残念!)。しかし、私が人々と日常会話をして受けた印象や、以下のような先達の発言を読んでいくと、やっぱり職業選択や言論の自由がない国というのは、私には「良い国!」とは言えないと感じました

キューバ人は幸せなのか

キューバの生活

キューバには観光客はどんどん入ってきます。彼らがキューバで美味しい物を食べ、素敵な服を来て、外の世界のことを話していく。その横に、自分で何かを変えていくのが難しい立場でいたら、僕だったらやりきれない気持ちになるなと思います。それって、「夢がない」と私は思うんですね。革命前の厳しい時代を経た人々からしたら、夢よりも最低限の生活を維持できる今の方が良いでしょうか。ここに答えはないのですが、スペイン語が喋れるようになったら、いつかキューバの人と語らってみたいものです。いつスペイン語が喋れるようになるのか?、、、あの世に行ってからかもしれませんけど、、、。

マーケットがない世界では、信用が重要

残りの感じたことはぽつぽつと。マーケットが未発達な国での信用の大切さは、4日目に書いたとおりです。この、「この人大丈夫なのかな?」という疑問の連鎖は、面白いですよ。

多少汚くても、最低限のインフラが整っていれば立派に生活はできる。人は、どんな環境でも懸命に生きる

キューバのインフラは全般的にしょぼかった。まあでも、インターネットがなくたって、クーラーがなくたって、別にどうってことないといえばないんですね。衛生的で、水と栄養がとれれば、まあ生きて行けるんだなということがよくわかりました。これは南米旅行中も度々感じたことですが。

「三種の神器」は人類共通

日本で三種の神器は、冷蔵庫、洗濯機、テレビですが、これは世界共通だと思います。

まず、写真はとっていませんが、Robertoの家には冷蔵庫も洗濯機もテレビもあります。これは長旅をしていてもわかるところで、生ものを保存できる冷蔵庫というのは「食」をつなぎクオリティをあげるためにとても重要。あと、洗濯を手でやり続けるのは本当に大変(手に穴があいて治すのに苦労しました)で、この重労働から解放してくれる洗濯機というのは本当に素晴らしいものです。南米には安価な洗濯屋があり、洗濯のしすぎで手に穴があいて洗濯屋の便利さに気づいてからは、これをなるべく利用するようにしました。

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(トリニダーで泊めてもらったお宅のキッチン。冷蔵庫も、電子レンジもあります。なお、このお宅は相当裕福だと思います)

情報、娯楽とコミュニケーションへの渇望は経済の発展段階に関係なく極めて強い

上から続いて、あとテレビ。どんなにボロい家でも、結構テレビはあります。お金がある人は、そこでテレビ放送ではなくてDVDを見ています。さらに、キューバで少しでもお金のある人は、こぞって携帯電話を持っています。

この、情報、娯楽、コミュニケーションへの渇望は南米を通じてどこでも感じたことです。メキシコのスラムには、ディッシュ(ソフトバンクとスプリントの買収を争った衛星放送の会社)のラボナアンテナが林立しています。山奥のド田舎のマチュピチュのインターネット屋で、パソコンの画面を見つめる若者の8割はFacebookを開いていました(残りの2割はネットゲーム)。そして、こんなにお金のないキューバでも至るところに携帯電話があります。

情報、娯楽、コミュニケーション、これは三種の神器の次(あるいは、環境によっては三種の神器よりも優先順位が高いかも?)に来る人間の本源的な欲求なのだと強く理解しました。

キューバ音楽は素晴らしい

最後に、キューバ音楽は素晴らしい。最近、私はBGMとしてキューバ音楽を常に流しており、そのマンネリぶりを妻からうざがられています。

豊かなキューバの実現を願って

キューバ、本当に学ぶの多い国でした。ありがとう、キューバ。いつか、私たちがキューバで食事をした素敵なレストランで、多くのキューバの人々が食事を楽しめるようになることを切に願います。

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ハバナにある、支倉六右衛門常長の像。彼は、1614年に日本人としてはじめてキューバの地を踏んだそうです。この像から、常長の出身地である仙台までの距離は11,850km。いつか、キューバの人が、遠い日本のワサビや醤油を楽しんでくれたらいいなと思います。ワサビも醤油も、Roberto知らなかったからね)

この後はメキシコシティで一泊休憩し、いよいよ南米に突入。ペルーのイキトス(アマゾン)を目指します!

サンタクララからハバナへ〜君は、ハバナでトロピカーナショーを見たか!

(7月6日)

これまでの調子で書いていると、旅行記を書き終えられないので、少しスピードアップを目指します。

ハバナへどうやって帰ろうか?

さて、昨日書いた通り、トリニダーからハバナへ帰る手段を確保せずにトリニダーへやってきました。ですので、トリニダーに着いてまずはハバナへ帰る手段を探します。条件は、途中でゲバラの霊廟があるサンタクララを経由することです。

宿を確保した後、まずはトリニダーの観光案内所へ直行。そこでサンタクララからハバナに行くバスはあるか?と尋ねたところ、出て来た時刻表がこれ。

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うーん、18CUCであるにはあるけど、午前中にサンタクララに移動→昼にサンタクララを簡単に観光→午後ハバナへ移動→夜はハバナを楽しむ、というプランを考えている私たちには出発時間が合わないですね。お姉さん、トリニダーからサンタクララへのタクシーはいくらぐらいが相場?「50CUCね(注:往復だったか片道だったか忘れましたが、確か片道だったような)」え、そんなに!まあ、サンタクララまでトリニダーからは1時間以上かかるから、それぐらいかかってもおかしくはないかなあ、、。さらにサンタクララから3時間ぐらいハバナまではかかるので、お金がいくらかかるのか若干心配になります。

どうしようかと思いましたが、バスの時間がこちらのプランにはまらない以上はタクシーを見つけるしかありません。でも、その場にたくさんいるタクシー運転手に交渉して、どこかに連れ去られて強盗をされるのも嫌なので(99.9%そういうことは起こらなそうではありましたが)、宿の商売人姉さんに相談です。「サンタクララを見てからハバナに行きたいんだけど、タクシードライバー知らない?」「(少し考えて)そうね、知人にドライバーがいるけど、いくらぐらいで行きたいの?」「うーん、90CUCか100CUCかな」「(また少し考えて)では、確認して○時に結果を知らせるわ」交渉術としてはもっと安い金額を提示して安値を勝ち取るという選択肢もあるわけですが、明日の移動は早く確保したいしサンタクララまで50CUCならハバナまで100CUCは妥当なラインなのでこんな感じでボールを投げてみました。

さて、約束の○時。「知人のドライバーに話したら、90CUCはダメで、100CUCなら行けるって。タクシーの税金を払わないといけないから、100CUCないとダメなのよ」さすが、当然のようにこちらの提示上限でオファーしてきます。しかも、もっともそうな理由つき。まあ、そりゃそうですよね。「表にタクシーが来ているから、見て決めて」と言われ、表に出るとエアコンがしっかり効くなかなか立派な中国車と、ドライバーのヒゲのオヤジが(オヤジの写真をとっていないのが悔やまれる)。うん、これで100CUCならいいんじゃないかな。というわけで、サンタクララで少し観光するんだぞ、ということを念押しして交渉成立です。宿を決める時も部屋を事前に自分から見せてくれましたし、このお姉さんはそのあたりに対応はしっかりしています。やっぱり、いい商売人になるんじゃないかなあ。

なお、バックパッカーによっては、トリニダーからハバナまで15CUCで乗せてくれた、というようなことを言っている人もいるようですが、走行距離、ガソリン代、税金負担や同ルートのバスの値段設定(25CUC)を考えるとどう考えてもそれは安すぎで、ドライバーがキューバの法律を破っている可能性が極めて高いように思われます。

サンタクララを経由してハバナ

翌朝、トリニダーで民芸品市場と市立歴史博物館を見学した後、タクシーでサンタクララを目指します。では、いくつか写真をどうぞ。

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(市立歴史博物館の塔から見たトリニダーの街並)

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(塔の下には土産を売る人々も見えますよ〜)

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サンタクララへの途中、マナカイスナガという世界遺産を通り過ぎます。この塔のまわりにはサトウキビ畑が広がっており、この塔から奴隷を監視していたそうです)

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(途中、こんな感じのローカルな町を通り過ぎ、いよいよサンタクララへ)

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(これが、サンタクララゲバラの霊廟です。霊廟の下(中?)には、ゲバラに関する展示もありました。ゲバラ達が革命の時に襲撃したという列車も訪れましたが、写真は省略)

ゲバラについては、私は旅の間にこの本を読みました。ゲバララテンアメリカの開放を目指し、資本主義の盟主アメリカも、キューバに味方する社会主義の盟主ソ連も、どちらもラテンアメリカをコントロールしようとするところは同じである、とキューバの大臣でソ連に対する立場があるにも関わらずスパッと言い切るところは、信念の人なのだと感じさせます。しかし一方で、その意思を貫徹するための方法が最後までゲリラとして戦うことであり、ボリビアでは外国人であるにも関わらず(そしてアルゼンチン人のゲバラも外国人がリーダーではボリビア人が団結して革命に到達することは難しいと感じていただろうにも関わらず)ゲリラを率いて、最後は捕まって殺されるあたりは、なぜそこまでして失敗する蓋然性の高いボリビアで戦い抜くことに執着したのか、疑問を感じます。私には、どこか死に急いでいるように思われたのですが、、。ゲバラに関する本はこの一冊しか読んでいないので、云々と言えるほどの知識はないのですが、この本の感想としてはそのように感じました。

さて、サンタクララの後はハバナに向かってハイウェイを飛ばして行きます。キューバのハイウェイは、車線数が多く(片道4車線ぐらいあったはず)、よく舗装されていて非常に立派です。しかし、車はあまり走っていません。途中で、ドライバーのおじさんが電話をいじって両手を離して車を運転し、車が中央分離帯の方にぶーんと曲がっていってしまったことがあったのですが、乗っている私たちは別に恐くありません。なぜなら、見通しのよい直線のハイウェイで前にも後ろにも対向車線にも見渡す限り一台も車がいないので事故の起こしようがないからです。

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(大雨で前方が非常に見えにくくなったこともありましたが、「他に車がいないから大丈夫」。確かにその通り)

そしてハバナまで1時間程度のところまで来て休憩所に止まっていたときのこと。私たちが食べ物を買って戻ってくると、おじさんが髪をキチッと決めてサングラスをしたナイスガイを僕らに紹介してくれます。「彼の車でここからハバナまで行ってもらっても?話はしてあるから、ハバナについたら彼に100CUCを渡してくれ」え、選手交代?、、聞いてないけど、おじさんが交代したいと言うのだから、まあいいか。しかしそのナイスガイ、おじさんに僕らの宿の場所を一生懸命質問しており、おじさんが「○×通りを曲がってどうのこうの」と丁寧に説明しています。ううむ、このナイスガイ、どう見てもタクシードライバーじゃない。

おじさんは中国車を時速120kmで飛ばし続けてここまで来たのですが、明らかに道を知っておりハンドルさばきもうまくプロのドライバーです。ただ、おじさんの運転している車がタクシー用のナンバープレートではなくレンタカーのナンバープレートであったのは気になるところで、本当におじさんがタクシードライバーとして政府に税金を払っているかは疑問でした。そして、交代したナイスガイに至っては、車のプレートの種類は自家用車で、明らかにタクシードライバーではありません。ナイスガイはハイウェイの途中で検問に引っかかり、外で警察官とごにょごにょとずいぶん話していましたが最後には戻ってきました。。。賄賂でも渡したんかな?ううん、わからん。まあ、無事ハバナに帰って来られたから良しとするか、、。というわけで、私たちは最後、ナイスガイが運転する目新しいプジョーに乗ってハバナに帰ってきました。プジョーだよプジョープジョーを持っているお前はいったい何者なんだ。

ハバナの名物ショー、トロピカーナ

ハバナでRobertoの宿に再び到着。一応、トリニダーで宿を予約したはずのRobertoの友人が迎えに来なかった愚痴を言っておきます。「おい、お前の友人バス停にいなかったぞ」「え、でもうちに(確認の)電話しなかったじゃないか」「したけれども、奥さんしかいなかったからスペイン語がわからなかったんだ」「俺の携帯電話に電話しろよ」「したけど不在だったぞ」「お、そ、そうか。でも、友人の宿は25CUCだったんだぞ。宿はいくらだった?」「15CUCだ」「(え!15CUC!それは安いな、、)そ、そうか。。」Robertoよ、考えていることが見え見えだよ。がんばれRoberto、競争が激しくなったら負けちゃうぞ。

さて、この日の夜はトロピカーナというハバナの有名なキャバレーショーを見に行きます。お土産のハバナクラブと葉巻がついて、お値段はひとり85CUC。会場はハバナの西の方にあるのですが、そのあたりでタクシーを拾ったら片道10CUCで送ってくれました。

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(トロピカ〜ナ〜トロピカ〜ナ〜)

ショーの内容は、豪華絢爛な踊り子たちが生演奏に合わせて踊りまくるというもので、露出度は高めであります。たまに、どんな格好だ?という感じの踊り子も出て来て、特にこのシャンデリアガールは「おお!?」という感じです。個人的には踊り子もさることながら、音楽がかなりツボでして、特にショーの真ん中あたりで大御所っぽい歌手達とサブちゃん(注:私たちが勝手にサブちゃんと読んでいるだけ)が歌う「ハバナの夜」(注:私たちが勝手に名付けた曲名)が私は大好きです。いまでも、公演のDVDを会場で買わなかったことをいたく後悔しており、とりあえずYou Tubeで公演の映像をあげてくれている人がいるのでそれを見てお茶を濁しています。誰か、トロピカーナに行ったら私に公演のDVDを買って来てください!!(ただし、大御所たちのハバナの歌がDVDに含まれていることを確認した上で!)

パリでムーランルージュを見たことがある妻によると、トロピカーナは若干洗練度に劣るということですが、カリブやラテンの音楽中心のこちらのショーは私としてはツボです。ただ、本当にこれがキューバ音楽てんこもりのショーかと言われるとそれはかなり「?」で、革命前のアメリカの香りがかなりします。値段設定やそれなりのお客さんの入り方からして、このショーがキューバにとって非常に重要な外貨収入の手段であることは間違いないわけですが、社会主義国キューバがお金を稼ぐ大きな手段がカネの力を感じさせる華やかなショーであるというのは大きな皮肉に思えてなりません。あと、このキャバレーの受付のオペレーションは壮絶に効率が悪く、競争がないと組織は基本的に改善されないのだなあと実感させられます。

なにはともあれ、ショーや金管の音楽が好きな方は、値段は高めですが行ってみて良いんじゃないかと思います。ただし、「本場のキューバ音楽に触れたい!」という場合は、別を探した方が良いでしょう。You Tobeで映像も見られますが、予習なしで行っていただきたいところです。

さて、明日はいよいよキューバとお別れです。キューバ総集編に続きます。

トリニダー〜どこでも興味深いキューバの人たち

(7月5日)

バスで世界遺産の古都トリニダーを目指す!

タイトルを「どこでも興味深いキューバの人たち」としましたが、キューバで一番思い出に残っているのは人です。本当にどこに行っても、クセの強い、それでいて憎めない明るい人々ばかりで、記憶に残る人たちばかりです。これはキューバ本来のラテンな文化と社会主義の社会情勢が組合わさった結果だと思います。

さて、今日はハバナの南東350kmにある世界遺産の古都トリニダーをビアスールという会社のバスで目指します。一人、片道25CUC。旅のアレンジは、ハバナのセントラル公園に面したParque Centralという五つ星ホテルの中にある、ツアーデスクで行いました。ここには、Habana Tur(ハバナツール)と Transtur(トランスツール)という国営の大手旅行会社二つがまとめてデスクを構えており便利(このツアーデスクは、私たちの滞在中に、このホテルから少し裏にある綺麗なオフィスビルに場所を移転しました)で、英語のできる髪を真っ赤に染めた親切(かつ服装が派手)なおばちゃんがいます。

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(五つ星ホテルParque Central。写真は暗いですが、クーラーが効いた明るく開放的なロビーはさすがの五つ星ホテルです。一泊200ドル以上し、私たちが泊まっている安宿とは違います)

ただ、このバスに決めるまでは結構手こずりました。はじめは、私たちはツアーでトリニダーに行くつもりでした。まず、7月2日。到着日の夕方におばちゃんのところに行きトリニダー行きのツアーをリクエストすると、トリニダー行きのツアーはひとり129CUCで、トリニダー、ゲバラの霊廟があるサンタクルスの他に二都市をまわるものである、ただし、ツアーの出発は週3日に限られており、最低催行人数8人に満たなければ開催されない、そして、明日(7月3日)に出発するツアーがあるがすでにそれは閉め切られていると説明されます。意外にハードルが高いではないか、トリニダー。そして、あさって(7月4日)に出発するツアーがあるが、まだ申し込みが私たち2人を除いて2人しかおらず、開催するかわからないので、明日の午後にもう一度確認に来てねと言われます。他にもツアーがあるのではないかと思い、他のツアーデスクや地球の歩き方に掲載されている日本語の通じる旅行会社にも連絡してみたのですが、結局トリニダー行きのツアーは、赤毛のおばちゃんが扱っているツアー以外にない(だろう)ことがわかりました(どこも、代理店が別なだけで、行き着くツアー催行会社は同じ)。そのようなわけで、他のツアーを探す案は断念し、おばちゃん一本で行きます。

次の日(7月3日)。午後、おばちゃんのデスクに行くと申し込みは増えていないということ(!)。8時までデスクはやっているから夕方また来てと言われたので、夜7時すぎにまたおばちゃんのところに行くも、申し込み不足のためツアーは催行されないと言われました。ここで、トリニダー行きに黄信号がともりますが、おばちゃんが親切にハバナからトリニダーまで行く観光客向けのバスが毎日出ているということを教えてくれます。これは出発の2日前までに申し込みが必要ということなので、その場で7月5日出発のバスを予約。バスは、Parque Centralの前から出発し、私たちの宿はParque Centralから近かったので、バス乗り場までは朝歩いて行くことができます。

7月7日にはハバナからメキシコに戻る旅程なので、トリニダーに一泊し、7月6日にはハバナに戻ってこなければなりません。しかし、ハバナで帰りのバスは予約できないということ。「トリニダーの観光案内所に行けばチケットを帰るわよ」。でも、私たちがトリニダーに着くのは7月5日、翌日7月6日のバスのチケットは買えないんじゃないの?「原則2日前に申し込まないといけないけど、行って話をすれば大丈夫」。非常にテキトーな対応ですが、いざとなったらタクシーで帰ってくればいいやと腹をくくり、このプランで決定です。

そんなわけでバスでトリニダーへ向けて出発。ハイウェイや田舎道ならを走り約6時間の道のりです。運転手の他に、相棒役?も同乗します。途中で運転手がきっちりと休息をとるのは前日と同じです。

喋りまくる運転手と相棒

このバスで鮮明に覚えているのが、この運行役の運転手と相棒です。なぜなら、バスが朝7時に出発してから約6時間、このふたりは絶えることなく大声でお喋りをし続けたからです。本当に、そんなに話すことたくさんあるのというぐらい絶え間なく喋り続けます。日本では大声で話続ける運転手など考えられませんが、でもこれも示唆がありますね。バスの運転で最も大事なことは安全、大声で話し続ければ運転手も居眠りしないでしょうからバスは安全です。それに、気の合う二人で喋り続ければ、本人たちも長い運転中楽しいでしょうから、仕事も楽しくなって一石二鳥。乗客からしても、別にそういうもんだと思えば、運転手がおしゃべりしていても気にならないんじゃないでしょうか。このスタンダードに慣れると、黙々が基本の日本の運転の方に違和感を感じてきます

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(左の運転手は、時にはハンドルから両手を離し、身振り手振りを交えて大声で話しまくる。高速道路の休憩所で休憩をした時も、トイレから戻って来た瞬間にふたりはおしゃべりを再開する。「この間、うちのとなりのロドリゲスが民宿を始めたんだぜ」「ほう」「で、観光客が来る場所じゃないから客が入らなくて税金を払うのが大変だって話だ!」などと会話をしていると妄想。あくまで妄想です)

トリニダーで宿探し〜信用の大切さ

さて、午後無事にトリニダーに到着します。ここから、宿探しで一波乱です。

日本やアメリカでは、宿やレストランが良いかどうかはインターネットで過去の訪問者の評価を見て確認できます。インターネットが、訪問者のコメントという過去の評価と値段で効率的なマーケットを作り出しているわけです。特に旅行者はその国/街を二度と訪れないことも多いですから、このマーケットがなかったら宿は一回きりの顧客をだましてぼったくることもままあるのではないかと思います。しかし、マーケットがあると、ぼったくりやひどいサービスは後から口コミという形でその宿の将来に悪影響を与えるので、宿も一回きりの顧客にきちんとサービスするようになります。それが、日本やアメリカの現在です。

しかし、キューバにはインターネットがなく、相手が信用できるかどうかは、ガイドブックに載っているか、あるいは信用できる人が薦めるかどうかで判断するしかありません。信用できるガイドブックに載っている宿だから、あるいは自分が信用するAさんが信用するBさんの宿だから、私もこの宿を信用していいだろうというわけです。マーケットが存在しない世界では信用がモノを言う、これはキューバでの大きな学びのひとつです。途上国では人脈が大事、とよく言われますが、その裏にはこの原理原則があるような気がします。

話をトリニダーの宿に戻します。現地で宿を探すと相手が信用できるかどうかわからないのでどうしようかなと思っていたところ、ハバナで泊まっていたRobertoが、(やった、商売ができるぞとばかりに)彼の友人がトリニダーでやっている宿に泊まれと薦めるので予約を頼みました。ところが、このRobertoが適当すぎます。「その友達のやっている宿はなんと言う名前なんだ?住所は?」「・・・バスが着いたら、友達はおまえの名前を持って待っているから大丈夫だ!」「(友達の宿の名前知らないんじゃないか?)・・・わかった、僕たちはビアスールという会社のバスを使っていくからな。ローカルの人が使うバスじゃないぞ」「ビアスール?・・・わかった!」おいおい、本当に大丈夫なのかRoberto。そもそも、そいつ本当にお前の友達か?

で、現地に着いたら、案の定私の名前を掲げて待っている人などいません。仕方がないので、客寄せの人混みをかき分け、メインの広場近くにあるカフェでとりあえず一休み、そこからRobertoに友人の宿の名前を聞くべく、電話を探します。英語が少しだけできる土産物屋の女性を見つけ、彼女に頼んで公衆電話をRobertoの宿にかけますが、残念ながらRobertoは不在でいたのは英語の全くできない彼の奥さん!コミュニケーションを試みますが、私には奥さんのスペイン語は理解できず、土産物屋の女性に事情を英語で説明して電話の仲介を頼むも、その女性もあまり私の英語をわかってくれず、結局何もわからないまま電話トライは失敗。

そんなわけで、Robertoの友人の宿を探すのが面倒になり、結局バスを降りた後に勧誘された宿のひとつでこの日は宿をとることにしました。

トリニダーで泊まった宿のお姉さんは生粋の商売人

トリニダーの中心から歩いてすぐの今回の宿の部屋はこんな感じで、窓がたくさんあって風がとおり、扇風機と冷蔵庫もある、何とも贅沢な部屋。今はオフシーズらしく、一晩たったの15CUCでした。(家の中の写真も後で掲載しているので宿の名前は載せませんが、もしも宿の名前を知りたい方がいらっしゃたらご質問いただいたらお答えします)

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(いまは15CUCですが、ハイシーズンは30CUCまで値上げするらしい)

トリニダーでバスを降りると、20人ぐらいの宿やタクシーの売り込みがやってきますが、売り込みの中のひとりが今回の宿のお姉さん。このお姉さんは、生粋の商売人で、人を不快にせずに効果的に売り込みをする方法をよく心得ています。彼女の売り込みテクニックを書き出すと、こんな感じ。

まずまず英語ができて愛想がいい

会話ができて雰囲気が良いのは営業の第一歩。

自分の部屋の写真を見せる

自分の宿の写真を見せて、「うちの宿はこんなにしっかりしているんだよ!」ということをアピール。

過去の滞在者の口コミを見せる

写真なら他の宿の売り込みも見せる。しかし、彼女はノートにマジックで日本語で大きく書かれた過去の日本人の感想を掲げ、「ほら、あなたと同じ日本人が泊まって、うちを良いと言っているよ!」とアピールしていました。感想には、「シャワーが水しか出なかった」とちょっとネガティブなことも書いてありましたが(私たちが泊まった時もシャワーはかなりぬるめだったような気がします)、その日本人が彼女の宿にとても満足していることが文章から伝わってきて、これが泊まる決め手になりました。

常に顧客の立場に立った言い方で、押し付けない

私が「もう今日の宿はとってあるんだよね」と言って断った時、彼女は「わかったけど、何かの事情で宿が必要になったら是非うちに来てね」という言い方で売り込んできました。売り込みに変わりはないのですが、こちらの事情を汲む姿勢はすごく好感が持てました。

それでも、営業しないと売れないのでしつこさは一流!

バスターミナルで売り込むだけでなく、近くの広場に移動した私たちにもしっかりついてきて最後まで売り込みを継続!でも、広場までついてきてそこで日本人の感想をアピールできたから顧客を獲得できたわけで、やっぱり売り込みは多少相手から煙たがられても頑張って営業しないといけないんだなと思いました。

さらに宿に入った後、彼女からレースのテーブルクロスなど彼女お手製のお土産も買いました。ここでも、商売人魂を発揮する彼女。

個人的な関係があると断りにくいことをよく知っている

宿に入ってひとしきり会話をして、個人的な関係ができた後に、「私が作ったお土産があるから、後で見てね」と言われると相手が断りにくいことをよく知っています。見るつもりだったものの「後でね」と言っていたら、3、4回笑顔で同じセリフでアピールされ、買う気がないお客さんもここまで笑顔で何回も迫られると見ざるを得なくなると想像。

お得な理由を(もっともらしく)ロジカルに説明

自分が外のマーケットにお土産を売りに行くと、空振りが多いからその営業にかかったコストも値段に載せないといけないけど、宿でだけ売れば営業コストがかからない、だから外のマーケットで買うよりも安いのよ!とロジカルに説明。うんうんそうかもと思わされます。

自分の体験談や感情を顧客に伝えて共感を得る

レースの編み物やテーブルクロスは大きさや複雑さによって値段が違うのですが、編み物とテーブルクロスではどう難しさが違うのか、大きいとなぜ作るのが大変なのかを、自分の経験に基づいて説明してくれます。彼女が作っている姿が目に浮かぶので、「確かにそれだとこっちの方が大変で値段が高くなるのもわかるな〜」と思ってしまいます。

ちなみにお土産を買った翌日に確認したところ、これらのお土産は、彼女の説明とは逆にマーケット価格よりも少し高かった(!)のですが、そんなに憎めないところが、彼女の商売上手なところです。また、本当に彼女が作っているのかは、わからないですね(作っている雰囲気はしましたが)。

ハバナで宿のロケーションが良いことに胡座を書いてテキトーな運営をしているRoberto(実際、彼は一日の八割をリビングでDVDを見て過ごしているような気がします)は、いつか資本主義が浸透してキューバで宿の競争が激しくなったら軽く駆逐されてしまうでしょうが、このトリニダーの商売人姉さんは間違いなく一企業を築いて成功するでしょう(Robertoは憎めないいいヤツではあるんですが、それと商売は別)。こんなキューバの片田舎で、営業の勉強ができるとは思いませんでした。

彼女に宿のことを聞いてみると、民宿を開いた場合、一部屋につき月30CUCの税金を政府に納める必要があるそうです。「インターネットがあれば、そこで営業をすることができる。でも、自分にはインターネットがない(注:キューバでは国民がインターネットを使うのはかなり難しい)。だから、自分はバスが着いたらそこに営業をしに行くんだ。ロンリープラネット(旅行ガイドブック)ばかり見て、こちらが声をかけてもまったく見向いてくれない人もいるけれど、でも私には売り込みに行くしか営業のやり方がないからね。インターネットが私も使えたらなあ」とのこと。お姉さんのガッツには敬服です。

のどかで美しいトリニダーの街並

トリニダーは植民地時代の街並がそのまま残っている世界遺産で、とても美しい街です。何百年も前の植民地時代の人々の生活を想像するのは少し難しいことですが、この街並が16世紀や17世紀にすでにあったわけですから、中世の街は現代と比べても十分に立派で美しく充実していたのだなと思わされます。もちろん当時は、電気や水などは通っていなくおそらく糞尿も道に撒き散らしていたのでしょうから、昼間で道が綺麗ならという留保付きですが。

ハバナから少し離れており、街もそれほど大きくはありませんが、美しくのどかで訪れる価値のある良い場所だと思います。街を探索した後、この日は土産物市場や革命博物館などに寄って、宿に帰りました。

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(トリニダーの中心。もちろん世界遺産であります)

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(カンチャンチャラという有名なお酒のお店。すっきりとした強いサトウキビのお酒を蜂蜜と一緒に飲みます。かなり美味しいです)

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(宿の屋上から眺めるトリニダーの街並み。とてものどかで落ち着きます)

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(鉄格子の隙間から何かを買うおじさん。ビール?)

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(夕食は、宿で食べた見事なロブスターのグリル。主食と副菜もいろいろついて、たったの12CUC!!!新鮮で、美味しいロブスターでした。トリニダーは近くでロブスターがとれるらしいので、是非試してみてください)

明日は、ゲバラの霊廟があるサンタクララに寄り、ハバナに帰ります。

ピニャーレス渓谷〜それいけ社会主義ツアー!

(7月4日)

今日は、前日に旅行会社で申し込んだツアー(ひとり60CUCぐらい)で、ハバナの西にあるピニャーレス渓谷(世界遺産)に行きます。行程は、ラム酒工場見学→ピニャーレス渓谷→葉巻農場→インディヘナの洞窟、という感じです。

社会主義らしさをかんじるツアー運営

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(今日は、このバスで移動します。メーカーは(確か)中国のYUTONG。キューバに限らず、中南米には多くの中国製バスや車が走っています。ちなみに、キューバの冷房で一番よく見るブランドはLG。どのようないきさつでキューバにここまで食い込んだのかはわかりませんが、その営業努力には頭が下がります)

バスに、おじさん運転手1名、おばちゃんガイド1名の構成で今日のツアーに出発です。

このツアーでは、社会主義らしいなと思ったことが二つあります。ひとつは、バスの運転手が1時間に1回必ず休憩をとること。とにかくほぼ厳密に1時間に1回休憩をとるのが少し笑えるのですが、バスやトラックの運転手が過労で事故を起こす日本からすれば、見習うべきところがあると思います(いずれにせよ、トイレが近い私にはこの休憩は有り難い)。

もうひとつは、ガイドのおばちゃんです。このおばちゃん、妙に笑顔が少ないです。そういう人なだけで、別に悪い人じゃないことはわかるんですが、あんまり笑顔が少ないとおばちゃんにとってこの仕事が楽しくないんじゃないかと心配になります(少なくとも、笑顔がツアー客を安心させるという発想がないことは確か)。一番面白かったのは、山道でバスの前方で事故がありバスが30分程度立ち往生した時。バスの乗客は皆、事故があったのかな、あとどれぐらいで出発できるのかなと気にしており、バスの運転手もガイドのおばちゃんも歩いて様子を見に行っていました。しかし、いざバスが再出発した時、おばちゃんは事故には一言も触れず!そしていきなり「このあたりには○×大学があり〜」と規定の説明を再開したことにはびっくりしました。気が効かないのか、あらかじめ決められた内容以外は案内する気がないのか。。。

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(山道で立ち往生する車たち。前方で、故障で動けなくなった車があったようです。しかし、普通は再出発できた後に「事故車がありましたが無事再出発できました」とか一言ぐらい言わないだろうか?。。いや、もしかしたら、山道で車が立往生するなど普通すぎて、説明するまでもないと思ったのかも。そんな気もしてきました)

ラム酒工場に社会主義の非効率を見る

バスはまず、郊外のラム酒工場を見学します。工場の壁には独立の英雄ホセ・マルティと革命の英雄チェ・ゲバラの絵が飾られています。もしも、キューバについて何も知らずにやってきても、帰るまでにこの二人の名前は覚えて帰ることになるでしょう。本当に、どこにでも像やら絵やらありますので。

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(ちなみに、フィデル・カストロの絵や偶像はどこにもありません)

私たちが見た場所では、出来上がったラム酒を瓶詰めしていました。この工場で私が一番驚いたのは、瓶のフタを、おばちゃんが、木槌でガンガン打って手で閉じていたことです。瓶のフタを木槌で打っとるですよ!私はその生産性の低さに本当にびっくりしました。旅の後半で見た南米最貧国のボリビアコカ・コーラ工場でも、瓶のフタは機械で閉じていることでしょう。国がこのおばちゃんに仕事を与えるためにこういうことになっているのかもしれませんが、競争がなく効率化のインセンティブが働かないとこういうことになるのだなと感じました。

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(左のおばちゃんが、左手に持っている木槌で瓶のフタをガンガン叩く。なんたるローテク!ただ、このおばちゃんも叩いては休憩、叩いては長い休憩、という感じだったので、機械化する必要があるほど本数を作っていないのかも。いや、そもそもこの瓶に酒を注ぐところすら機械でやる必要があるのかという少ない生産本数のような気も、、)

ピニャーレス渓谷/葉巻農場

バスは走り、続いて世界遺産ピニャーレス渓谷へ。自然と伝統的な農村が美しい景色を生み出しているらしい。

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(これが、世界遺産ピニャーレス渓谷だ!)

そうですね、良いところだとは思いますが、そんなにいいところかな?というのが私の感想です。人によっては大変感激するそうなので、感じ方は人それぞれだと思いますが。

続いて、葉巻農場へ。農場のおじさんが、葉巻を作る現場を見せてくれ、葉巻作成を実演してくれます。私はタバコは嗜みませんが、キューバの葉巻は世界一のクオリティだそうです。せっかくなので私も少し吸ってみましたが、私は愛煙家にはなれなそうでした。ただ、会社の先輩がよく「酒を飲むとタバコが吸いたくなる」と言っている理由は理解できました。シナモンとラテを一緒に飲むようなもので、葉巻の味と香りが口の中に残った状態でお酒やコーヒを飲むと美味しそうです。

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(慣れた手つきで葉巻を作るおじさん。キューバでは街の人もよく葉巻を吸っています)

ピニャーレス渓谷には、このような巨大な壁画が描かれた場所もあります。この壁画は、革命の精神を表現するために革命後に描かれたものだとか。

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(大きすぎて写真に収まりません)

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(壁画と偶然止まっていたクラシックカー)

この後は、インディへナの洞窟というところに行きましたが、省略します。そんなわけで今日のツアーは終わりです。ピニャーレス渓谷は私にとっては「これで世界遺産?」という感じでしたが、社会科見学として今日のツアーは面白かったです。

特に、チップの世界に生きる初日のタクシードライバーのおじさんと、国営ツアーを粛々と運営する今日のガイドのおばさまは対象的です。タクシードライバーのおじさんが、知識豊富で英語もうまく、こちらのリクエストもいろいろと聞いてくれるナイスガイ、ただしチップが欲しいという希望はあり、だったのに対して、今回のツアーガイドのおばさまは、英語はまあまあ、事前に準備されたプログラムに沿って淡々と進む、笑顔少なめ、ただしお金は気にしない、という感じでした。解説やホスピタリティの差もさることながら、私には、初日のおじさんの方が人間味があって面白く感じられました。おじさんには意思があるが、今日のおばさまからは意思が感じられない、というと言い過ぎでおばさまに失礼でしょうか。今日は、社会主義の一端を国営ツアーで感じるという意味で、とても良い経験ができました。ラム酒工場もびっくりしましたし。

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(帰り道のバスの車窓から。郊外に行っても、昼間から油を売っている人が多い、野良犬が多い、という傾向は変わりません)

明日は、ハバナの南東350kmにある、世界遺産の古都トリニダーを目指します。