ピニャーレス渓谷〜それいけ社会主義ツアー!

(7月4日)

今日は、前日に旅行会社で申し込んだツアー(ひとり60CUCぐらい)で、ハバナの西にあるピニャーレス渓谷(世界遺産)に行きます。行程は、ラム酒工場見学→ピニャーレス渓谷→葉巻農場→インディヘナの洞窟、という感じです。

社会主義らしさをかんじるツアー運営

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(今日は、このバスで移動します。メーカーは(確か)中国のYUTONG。キューバに限らず、中南米には多くの中国製バスや車が走っています。ちなみに、キューバの冷房で一番よく見るブランドはLG。どのようないきさつでキューバにここまで食い込んだのかはわかりませんが、その営業努力には頭が下がります)

バスに、おじさん運転手1名、おばちゃんガイド1名の構成で今日のツアーに出発です。

このツアーでは、社会主義らしいなと思ったことが二つあります。ひとつは、バスの運転手が1時間に1回必ず休憩をとること。とにかくほぼ厳密に1時間に1回休憩をとるのが少し笑えるのですが、バスやトラックの運転手が過労で事故を起こす日本からすれば、見習うべきところがあると思います(いずれにせよ、トイレが近い私にはこの休憩は有り難い)。

もうひとつは、ガイドのおばちゃんです。このおばちゃん、妙に笑顔が少ないです。そういう人なだけで、別に悪い人じゃないことはわかるんですが、あんまり笑顔が少ないとおばちゃんにとってこの仕事が楽しくないんじゃないかと心配になります(少なくとも、笑顔がツアー客を安心させるという発想がないことは確か)。一番面白かったのは、山道でバスの前方で事故がありバスが30分程度立ち往生した時。バスの乗客は皆、事故があったのかな、あとどれぐらいで出発できるのかなと気にしており、バスの運転手もガイドのおばちゃんも歩いて様子を見に行っていました。しかし、いざバスが再出発した時、おばちゃんは事故には一言も触れず!そしていきなり「このあたりには○×大学があり〜」と規定の説明を再開したことにはびっくりしました。気が効かないのか、あらかじめ決められた内容以外は案内する気がないのか。。。

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(山道で立ち往生する車たち。前方で、故障で動けなくなった車があったようです。しかし、普通は再出発できた後に「事故車がありましたが無事再出発できました」とか一言ぐらい言わないだろうか?。。いや、もしかしたら、山道で車が立往生するなど普通すぎて、説明するまでもないと思ったのかも。そんな気もしてきました)

ラム酒工場に社会主義の非効率を見る

バスはまず、郊外のラム酒工場を見学します。工場の壁には独立の英雄ホセ・マルティと革命の英雄チェ・ゲバラの絵が飾られています。もしも、キューバについて何も知らずにやってきても、帰るまでにこの二人の名前は覚えて帰ることになるでしょう。本当に、どこにでも像やら絵やらありますので。

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(ちなみに、フィデル・カストロの絵や偶像はどこにもありません)

私たちが見た場所では、出来上がったラム酒を瓶詰めしていました。この工場で私が一番驚いたのは、瓶のフタを、おばちゃんが、木槌でガンガン打って手で閉じていたことです。瓶のフタを木槌で打っとるですよ!私はその生産性の低さに本当にびっくりしました。旅の後半で見た南米最貧国のボリビアコカ・コーラ工場でも、瓶のフタは機械で閉じていることでしょう。国がこのおばちゃんに仕事を与えるためにこういうことになっているのかもしれませんが、競争がなく効率化のインセンティブが働かないとこういうことになるのだなと感じました。

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(左のおばちゃんが、左手に持っている木槌で瓶のフタをガンガン叩く。なんたるローテク!ただ、このおばちゃんも叩いては休憩、叩いては長い休憩、という感じだったので、機械化する必要があるほど本数を作っていないのかも。いや、そもそもこの瓶に酒を注ぐところすら機械でやる必要があるのかという少ない生産本数のような気も、、)

ピニャーレス渓谷/葉巻農場

バスは走り、続いて世界遺産ピニャーレス渓谷へ。自然と伝統的な農村が美しい景色を生み出しているらしい。

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(これが、世界遺産ピニャーレス渓谷だ!)

そうですね、良いところだとは思いますが、そんなにいいところかな?というのが私の感想です。人によっては大変感激するそうなので、感じ方は人それぞれだと思いますが。

続いて、葉巻農場へ。農場のおじさんが、葉巻を作る現場を見せてくれ、葉巻作成を実演してくれます。私はタバコは嗜みませんが、キューバの葉巻は世界一のクオリティだそうです。せっかくなので私も少し吸ってみましたが、私は愛煙家にはなれなそうでした。ただ、会社の先輩がよく「酒を飲むとタバコが吸いたくなる」と言っている理由は理解できました。シナモンとラテを一緒に飲むようなもので、葉巻の味と香りが口の中に残った状態でお酒やコーヒを飲むと美味しそうです。

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(慣れた手つきで葉巻を作るおじさん。キューバでは街の人もよく葉巻を吸っています)

ピニャーレス渓谷には、このような巨大な壁画が描かれた場所もあります。この壁画は、革命の精神を表現するために革命後に描かれたものだとか。

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(大きすぎて写真に収まりません)

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(壁画と偶然止まっていたクラシックカー)

この後は、インディへナの洞窟というところに行きましたが、省略します。そんなわけで今日のツアーは終わりです。ピニャーレス渓谷は私にとっては「これで世界遺産?」という感じでしたが、社会科見学として今日のツアーは面白かったです。

特に、チップの世界に生きる初日のタクシードライバーのおじさんと、国営ツアーを粛々と運営する今日のガイドのおばさまは対象的です。タクシードライバーのおじさんが、知識豊富で英語もうまく、こちらのリクエストもいろいろと聞いてくれるナイスガイ、ただしチップが欲しいという希望はあり、だったのに対して、今回のツアーガイドのおばさまは、英語はまあまあ、事前に準備されたプログラムに沿って淡々と進む、笑顔少なめ、ただしお金は気にしない、という感じでした。解説やホスピタリティの差もさることながら、私には、初日のおじさんの方が人間味があって面白く感じられました。おじさんには意思があるが、今日のおばさまからは意思が感じられない、というと言い過ぎでおばさまに失礼でしょうか。今日は、社会主義の一端を国営ツアーで感じるという意味で、とても良い経験ができました。ラム酒工場もびっくりしましたし。

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(帰り道のバスの車窓から。郊外に行っても、昼間から油を売っている人が多い、野良犬が多い、という傾向は変わりません)

明日は、ハバナの南東350kmにある、世界遺産の古都トリニダーを目指します。