番外編:最貧国ボリビアの首都ラパスで、ひとりで勝手に日本企業の未来を憂う

今回は番外編として、記憶にとどめておきたいエピソードをひとつ。

ラパスでNHKを見る

ラパスで宿泊したHotel Sagarnagaでは、何とNHKを見ることができました。シカゴでもNHKを見ることはできないので、私たちがNHKをじっくり見るのは渡米以来約1年ぶりです。渡米以来1年ぶりに見るNHKが、南米の最貧国ボリビアの危険な首都ラパスでというのも不思議な話です。この時は、日本では衆議院選挙の当日で、なんと私は選挙速報をライブで見ることができました。驚きです。

たまたま見たNHKのニュースに違和感を感じまくる

さて、ここでたまたま続けて見たNHKのふたつのニュースが、私はとても印象に残りました。

ニュースその1:近年、日本では家庭用の美顔商品(女性が顔にマッサージをする商品など)が人気で、電機メーカー各社は新商品を投入。201x年には、市場は130億円(ぐらい)に拡大する見込みで、今後はインドネシアなどにも進出予定。

ニュースその2:神奈川県のどこかの川で、川のイベントを開催。子供達に、川が昔は重要な経済、交通の手段だったことを紹介。

まず、1つ目のニュースを見て思いました。130億円は小さな金額ではない。でも、何兆円も売り上げのある電機メーカーが、人を張ってやる仕事じゃないでしょ。というか、そんなところに人を配置するぐらいなら、南米にテレビと洗濯機を売りにこいと。南米の空港では、サムスンの液晶テレビが9割、LG電子が1割。クーラーはLG電子がわりと多い印象で、どこの国でも洗濯機はたくさんあります。なんで日本の電機メーカーはこんな巨大な市場にテレビも洗濯機も売りにこないのだ!百歩譲って液晶テレビは戦略ミスでコスト競争に負けたという話でも仕方がない(注:私はアメリカではサムスンの液晶テレビを使っていますし、南米でもサムスンのテレビを多く見ましたが、サムスンの液晶テレビに品質の問題は全くなく、日本の電機メーカーは単純に戦略ミスでコスト競争に敗れたのは明白です。アメリカではサムスンのブランドは強いです)。洗濯機はまだまだ競争できるところなのに、なぜ売れる商品を作って南米のボリュームゾーンに売りにこないのだ。テレビも洗濯機も、三種の神器と言われるのは伊達ではなく、所得水準が一定に達したら世界中どこでも需要が必ずある商品なのに。と、内弁慶な日本企業の姿勢にひとりで腹を立てていました。

さて、1つ目のニュースにひとりで怒り心頭した後、2つ目のニュースです。こちらで思ったのは、私はアマゾンで、交通に、漁業に、洗濯に、トイレに、人々が川を使っているのを見ました。世界にはそういうところはまだまだたくさんあるわけで、イベントも良いけれど、そういう場所に実際に訪れれば、川の重要性はすぐに学べるしインパクトも強いのにな、と。アマゾンに子供を3人連れて旅行に来ているフランス人一家がいました。子供達に、アマゾンを経験させたいのだとか。ううん、ちょっとチャレンジングな選択だけど、子供にとっては絶対に一生忘れられない経験になるでしょう。さすがに日本からアマゾンは遠いけど、アジアぐらいなら行けるはず。もっと外を見に行ったらいいのにな。

エピソードとしてはこれだけなんですが、ボリビアで、NHKを見て、一人で勝手に憤慨する日本人の私、とても滑稽だったに違いありません。でも、この旅行で学んだことの大事な部分を象徴するエピソードだと自分では思っています。言葉の問題は一部に過ぎません。マインドとして、もっと日本は外に出て行かないといけないと思います。いつか、日本の洗濯機が、世界中で見られると良いですね。

余談ですが、日本車ではトヨタが南米でも奮闘しています。特に僻地でのトヨタランドクルーザー比率は圧倒的です。壊れたら困るから、そうなるんでしょうね。でも、バスは中国製かメルセデスベンツです。日本車メーカーは、もっとバスを南米で売ったらいいんじゃないかな?

ちなみに、中南米でも(といっても中南米に旅行する人々の間で、ですが)日本製が席巻している唯一のアイテムは、デジタルカメラです。旅行者が持つデジカメの95%は、Canon、NikonOlympus、Panasonicといった日本製で、サムスンのデジカメは2ヶ月で1度しか見たことがありません。がんばれ、日本のデジカメ。