パンタナール、ボニート、カンポグランジ、大湿原の豊かな旅

(8月2日〜8月7日)

パンタナール、ボニート、カンポグランジって何?

リオから飛行機で飛ぶこと2時間ほど、私たちはパンタナール観光の拠点となるカンポグランジという街にやってきました。

ここで、そもそもパンタナール、ボニート、カンポグランジが何かについて説明します。パンタナールは、世界遺産にも登録されているブラジルの大湿原地帯です。ここには巨大な牧場が多くあり、その牧場に泊まって野生動物を見る事ができます。ボニートは、パンタナールの近くにあり、同じく牧場が多いのですが、非常に水の澄んだ川が多く有ることで知られた観光地でもあります。そして、これらへの観光の拠点となるのがカンポグランジです。基本的に、パンタナールの畜産業を支えることで発展してきた街で、ブラジルで最も車の所有率が高いという豊かな街でもあります。日系人が多く、沖縄から移民をしてきた人が多いため沖縄ソバを食べることができます。

パンタナールとボニートを観光する方法

続いて、旅行のスケジュールを簡単に説明してしまいます。8月2日にカンポグランジに到着、8月3日に混載バスでボニートに移動し、まず天然水族館(Aquario Natural)で清流を魚とともに泳ぎます。ボニートに泊まり、8月4日朝はボニートのラーゴ・アズウ鍾乳洞(Gruta do Lago Azul)に行きます。その後チャーター車で南パンタナールに移動、サンフランシスコ農場(Fazenda San Francisco)に行きます。サンフランシスコは牛を万単位で飼っている巨大な牧場で、ここに8月7日まで3泊4日滞在し、サファリなど様々なアクティビティを楽しみます。7日の夕方にカンポグランジに戻り、飛行機で次の目的地イグアスへ移動する行程です。

この8月2日から8月7日まで5泊6日の行程を、今回は地球の歩き方のカンポグランジのページに掲載されているカンポグランジ在住の日本人の方に連絡をとり、すべてアレンジしていただきました。しかし、対価としてふたりで30万円以上(!)払っておりまして、正直なところ、今でもお金をベラボウに使いすぎたと非常に反省&後悔しております。こんなに値段が高くなってしまった第一の理由は、日程にあります。カンポグランジ←→ボニート、カンポグランジ←→南パンタナールは、探せば交通機関があるようです。しかし、5泊6日という限られた日程でボニートもパンタナールも両方見たいと思うと、どうしても事前に手配をしておく必要と、ボニートからパンタナールに直接行く手段を確保する必要がありました。すると、事前にツアーを頼むという選択肢しか残りませんでした。もしもこの地域にもう2日確保することができたら、それぞれの施設の予約だけあらかじめとっておいて交通手段は現地調達し、カンポグランジ→ボニート→カンポグランジ→南パンタナールと移動することで、もっと値段を安くあげることができたと思います。第2に、日本人の方にツアーの手配をお願いしてしまったこと。その方はアレンジをしてくださったのみで、実際のツアーはImpacto Turismoが催行してくれました。ホームページを見ると英語が見当たりませんが、一人ぐらい英語が出来る人がいるのではないかと思うのでとりあえずメールで英語で問い合わせてみる価値は大です。第3に、(何となく)ここは本当にポルトガル語しか通じないのではないかと思い込んでいたことです。実際に行ってみると、街では英語はほぼ通じませんが、観光の要所要所には英語が出来る人がいます。別に、これまで南米で訪れた他の観光地と同じです。日系人のガイドの方(彼はとても良い人で、彼と会えたことはとても良かったのですが)が旅行中ずっと付いてきてくださったのですが、ちょっとコスト的にはやりすぎだったと思っています。

というわけで、パンタナールとボニートはブラジルの観光地の中でも異常に価格設定が高いことで有名なのですが、(1)少し日程に余裕を持って(2)必要な事前手配は現地の大手代理店に直接英語で依頼し(3)交通手段はなるべく現地で調達し(4)フル日程のガイドはつけない、という原則で行けば、多少マシなコストにおさえられるはずです。今後行かれる方は、参考にして下さい。ただし、どの観光地もバケーションシーズンはそれなりに混んでいるので、すべて現地調達ではなく、サンフランシスコ農場や天然水族館などのアトラクションは事前にツアー会社で申し込んでおいた方が無難そうです。

というわけで、以後は駆け足に日程を書き上げていきます。

(8月2日)

ツアー中は、素敵な日系人のガイドさんと一緒

このツアー中はずっとガイドの方が付いてくださったのですが、今回は日系人で日本にも滞在経験がありとても日本語堪能のEさんが来て下さいました。Eさんはカンポグランジやブラジルについても知識堪能で、自分が作った格闘技を広める活動もしており、なんともすごい方です。Eさんには、カンポグランジやパンタナールのことについて、かなりいろいろと質問をさせてもらいました。

質問させてもらった内容の中で特に記憶に残っているのは、以下のような内容でしょうか。

Q. ブラジルでは先日まで激しいデモが起きていましたが、理由は何ですか?
A. ブラジルは最近ずっと景気が良くて発展してきたけれど、政府の人がもうけてインチキをするのが多すぎた。例えば、人々が医療を受けられる病院の数があまりにも少ないとかね。だから、国民がものすごく怒ってデモをしたんです。私は、デモはとてもよかったと思う。デモの後、政治家も何とかしないといけないと考えるようになったからね。

Q. カンポグランジの主要な産業は何ですか?
A. この町には、製造業といった産業はあまりなく、基本的にパンタナールの牧場を支えている町です。建築とか、自動車(販売)とか、お店とか。牧場のお金がこの町にはすごくよくまわっていると思う。あと、ボリビアと国境が近いので、軍隊もあります。この町は、ブラジルで1番自動車の普及率が高い町なんですよ。すごく安全で、夜歩き回っても大丈夫。あと、ブラジルの中でもすごく離婚率が高い町でもあるんだって(笑)。お金があると、離婚が増えるのかな。

Q. 実家は沖縄ソバを出しているそうですが、味は日本と違うんですか?
A. はじめは日本と同じような味で出したけど、お客さんが入らなくて、こっちの人にあわせて味を濃くしたらすごくお客さんが入るようになりました。

Q. リオデジャネイロサンパウロって、やっぱり危ないの?
A. 危ない危ない、ブラジルの人はみんなリオデジャネイロサンパウロは危ないって知ってるよ。カンポグランジとは全然違うね。(でも、Eさんは格闘家なので何があっても大丈夫そうですけれど)

Q. 牧場に行く道の脇にときおりある掘建て小屋は何?
A. 「自分はここに住んでいるんだから、土地をくれ!」と主張する人の小屋。政府が、時々広大な牧場を分割して配ることがあり、それを目当てとするもの。でも、実際は街に住んでいる人が掘建て小屋を持っていて、政府が住んでいるか調査に来た時だけそこにいることが多い。個人的には、土地を配るのはおかしいと思う。何で土地を配るのか?政治家の人気取り。また、ブラジルでは原住民をとても大事にしていて、パンタナールにも原住民の保護区がある。保護区の中では、よそ者がノコノコと入っていって原住民の決まりにしたがって殺されても、原住民は犯罪に問われない。ある保護区はダイヤモンド(だったか?)がとれて、でも原住民はナマケモノで働かないから、外の人と契約をして外の人が掘り出していたりする。それで、原住民は凄く立派な家に住んでいたりする。原住民を保護するのは良いと思うけど、働かないのはおかしいですよね。僕はよくないと思う。

カンポグランジで沖縄ソバを食べる

カンポグランジの夜。ホテルの近くにある日本料理屋で沖縄ソバを食べます。ここの沖縄ソバは、、味が相当濃かったです。最近、日本では「世界で日本食がブーム!」なんて言いますね。それは事実で、もっと日本食を日本人は輸出するべきだと思います。ただ、日本人が好きな味を輸出するのが日本食の輸出なのか、日本食をベースにした現地の人の受け入れられる味を輸出するのが日本食の輸出なのか、これは悩ましいところです。ここまで味が濃くなると、もはや沖縄ソバとは言えない気もしつつ、でも麺は沖縄ソバなわけで、これも日本食が世界で受け入れられている一例だと思います。

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(お店の名前は、KEIKO。KEIKOさんが始めたのでしょうか)

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(スープが真っ黒の沖縄ソバ。探せば、日本らしい味のソバもあるらしいです)

(8月3日)

ボニートの天然水族館で体を冷やしすぎる

天然水族館は、恐ろしく透明な川を40分程度かけてゆら〜と泳いで楽しむというアクティビティです。透明度を保つために、日焼け止めなどを塗るのも禁止という厳しさ。ダイビングスーツ?を着るので、日焼けはいずれにせよしませんが。これは、写真を見ていただくのが早いですね。

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水草がしげる水中)

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(大きな川魚がうようよ泳いでおります)

海の魚を水中で見る機会は、世界中どこでもあると思うのですが、川の魚を透明な水中で見る機会はそれほどない気がするので、結構楽しいです。ただ、私たちが川に入ったのは夕方でしかも水温が低く、40分ー50分ぐらい泳いだ後、内蔵まで体が冷えすぎて死ぬかと思いました。体の冷え過ぎにより、私はその日の夜はガタガタ震えながらベッドにもぐるしかできず、夕食も摂れなかったぐらいです。ボニートには他にプラッタ川という同じように1時間30分泳ぐアクティビティもあるそうなのですが、1時間30分泳いだら私は多分死んでいたんじゃないか(少なくとも、内蔵がどこか壊死してしまったのではないか)と思うので、冬にボニートに行く方はご自分の体力とよく相談されてアクティビティを決めた方が良いと思います。

(8月4日)

ボニートのラーゴ・アズウ鍾乳洞は、面白いところだが私のツボではなかった

こちらは、鍾乳洞に青い泉があるという洞窟スポットです。私は、洞窟や青い泉に萌えない方なので、ここはツボではありません。妻は青い水が好きなので、楽しんだようです。

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(確かに青くて、綺麗ではあります。行ったことはありませんが、イタリア、カプリ島の青の洞窟にも私は興味がありません)

(8月4日〜7日)

サンフランシスコ農場でアクティビティ三昧

そして、サンフランシスコ農場に3泊4日です。こちらは、宿泊費に3食とアクティビティがすべて込みになっていて、農場に滞在しながら、ナイトサファリ、昼間のサファリ、ピラニア釣りなどいろいろなアクティビティで自然と動物を楽しみます。写真の抜粋はこちら。

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(食事はビュッフェ形式で、毎回牧場の牛肉が食べられます)

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(宿泊施設のすぐ外を歩いていたエミュ。以下の写真は、すべて野生の動物/鳥です)

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(非常に美しいアララ。夕方にエサを撒くとどこからともなくやってきます。美しいトゥカーナも何回か見ましたが、こちらは独立心が強くエサを撒いてもやってきません。トゥカーナを近くで見たかった!)

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(立派なアララ。カッコいい!)

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(日本でも大人気のカピバラ。実物は、、、世界一大きなネズミです)

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(パンタナールシカ)

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(名前を忘れた白い鳥とワニ。ワニはやたらたくさんいます)

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(ジャガーの足跡。私たちは見られませんでしたが、何匹かジャガーが住んでいるそうです)

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(パンタナールのカウボーイの手引きを受けて、牧場で乗馬)

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(牧場の牛を見下ろしながら歩くと、偉くなった気分になります)

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(パンタナールのワシ、ベロ。カッコいい)

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(アルマジロ。初めて見ました)

サンフランシスコ農場のまとめ

サンフランシスコ農場では、様々な自然の動物を見ることができます。特に、ワニは本当にたくさんいるので、当たり前になってきてワニを見ても写真をとらなくなります。

一方で、アマゾンのように大自然の中にいるという感じはありません。パンタナールでは、土地の30%は森を残さなければいけないとブラジルの法律で決まっているそうですが、裏を返せば土地の70%は牧場です。どこまで行っても牧場なので、アマゾンのように「ここに取り残されたら死ぬ、、」という感覚はありません。あと、パンタナール観光はコストが高いです。

結論としては、パンタナールにはパンタナールの良さがあるけれども、値段がとても高い地域でもあるので、大自然を感じるならアマゾン、野生の動物をたくさん見たいならアフリカのサファリ(私はまだ行ったことはないですが)、の方が、費用対効果の面で優れているかもしれません。楽しかったですけどね。日本の方も比較的訪れるようで、現地で日本からのツアー客と、何組かの子供を連れた家族連れにあいました。サンパウロなどブラジルに駐在する日本人にとって、サンフランシスコ農場は子供をつれて夏休み、、ではなくて冬休みに来る格好の旅行先のようです。

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(お別れのカンポグランジ空港)

帰り際に、Eさんに冗談で「将来パンタナールに牧場を買ったらどうですか?」と言われました。値段を聞いたら、1億円ぐらいから買えるということ。オーナーになっても日本からここには10年に1回も来られないかもしれませんが、ブラジルのパンタナールに牧場を持っている、というのは、悪い響きではありません。1億円なら、もしかしたら何とかなるかも!?(旅行記を書いてないで、働かないとね!)というわけで、将来の夢のひとつにパンタナールに牧場を持つという(よくわからない)夢を加えて、カンポグランジを後にしました。さようなら、お元気で、Eさん!

次は、ブラジル最後の訪問地、イグアスの滝です。イグアスの後は、エクアドルのキトを経てガラパゴスに滞在して旅も終わり。いよいよ、2ヶ月の旅行も終わりが近づいてきました。