サンタクララからハバナへ〜君は、ハバナでトロピカーナショーを見たか!

(7月6日)

これまでの調子で書いていると、旅行記を書き終えられないので、少しスピードアップを目指します。

ハバナへどうやって帰ろうか?

さて、昨日書いた通り、トリニダーからハバナへ帰る手段を確保せずにトリニダーへやってきました。ですので、トリニダーに着いてまずはハバナへ帰る手段を探します。条件は、途中でゲバラの霊廟があるサンタクララを経由することです。

宿を確保した後、まずはトリニダーの観光案内所へ直行。そこでサンタクララからハバナに行くバスはあるか?と尋ねたところ、出て来た時刻表がこれ。

f:id:career-mountains:20130705135539j:plain
うーん、18CUCであるにはあるけど、午前中にサンタクララに移動→昼にサンタクララを簡単に観光→午後ハバナへ移動→夜はハバナを楽しむ、というプランを考えている私たちには出発時間が合わないですね。お姉さん、トリニダーからサンタクララへのタクシーはいくらぐらいが相場?「50CUCね(注:往復だったか片道だったか忘れましたが、確か片道だったような)」え、そんなに!まあ、サンタクララまでトリニダーからは1時間以上かかるから、それぐらいかかってもおかしくはないかなあ、、。さらにサンタクララから3時間ぐらいハバナまではかかるので、お金がいくらかかるのか若干心配になります。

どうしようかと思いましたが、バスの時間がこちらのプランにはまらない以上はタクシーを見つけるしかありません。でも、その場にたくさんいるタクシー運転手に交渉して、どこかに連れ去られて強盗をされるのも嫌なので(99.9%そういうことは起こらなそうではありましたが)、宿の商売人姉さんに相談です。「サンタクララを見てからハバナに行きたいんだけど、タクシードライバー知らない?」「(少し考えて)そうね、知人にドライバーがいるけど、いくらぐらいで行きたいの?」「うーん、90CUCか100CUCかな」「(また少し考えて)では、確認して○時に結果を知らせるわ」交渉術としてはもっと安い金額を提示して安値を勝ち取るという選択肢もあるわけですが、明日の移動は早く確保したいしサンタクララまで50CUCならハバナまで100CUCは妥当なラインなのでこんな感じでボールを投げてみました。

さて、約束の○時。「知人のドライバーに話したら、90CUCはダメで、100CUCなら行けるって。タクシーの税金を払わないといけないから、100CUCないとダメなのよ」さすが、当然のようにこちらの提示上限でオファーしてきます。しかも、もっともそうな理由つき。まあ、そりゃそうですよね。「表にタクシーが来ているから、見て決めて」と言われ、表に出るとエアコンがしっかり効くなかなか立派な中国車と、ドライバーのヒゲのオヤジが(オヤジの写真をとっていないのが悔やまれる)。うん、これで100CUCならいいんじゃないかな。というわけで、サンタクララで少し観光するんだぞ、ということを念押しして交渉成立です。宿を決める時も部屋を事前に自分から見せてくれましたし、このお姉さんはそのあたりに対応はしっかりしています。やっぱり、いい商売人になるんじゃないかなあ。

なお、バックパッカーによっては、トリニダーからハバナまで15CUCで乗せてくれた、というようなことを言っている人もいるようですが、走行距離、ガソリン代、税金負担や同ルートのバスの値段設定(25CUC)を考えるとどう考えてもそれは安すぎで、ドライバーがキューバの法律を破っている可能性が極めて高いように思われます。

サンタクララを経由してハバナ

翌朝、トリニダーで民芸品市場と市立歴史博物館を見学した後、タクシーでサンタクララを目指します。では、いくつか写真をどうぞ。

f:id:career-mountains:20130706072153j:plain
(市立歴史博物館の塔から見たトリニダーの街並)

f:id:career-mountains:20130706072758j:plain
(塔の下には土産を売る人々も見えますよ〜)

f:id:career-mountains:20130706082921j:plain
サンタクララへの途中、マナカイスナガという世界遺産を通り過ぎます。この塔のまわりにはサトウキビ畑が広がっており、この塔から奴隷を監視していたそうです)

f:id:career-mountains:20130706093436j:plain
(途中、こんな感じのローカルな町を通り過ぎ、いよいよサンタクララへ)

f:id:career-mountains:20130706100040j:plain
(これが、サンタクララゲバラの霊廟です。霊廟の下(中?)には、ゲバラに関する展示もありました。ゲバラ達が革命の時に襲撃したという列車も訪れましたが、写真は省略)

ゲバラについては、私は旅の間にこの本を読みました。ゲバララテンアメリカの開放を目指し、資本主義の盟主アメリカも、キューバに味方する社会主義の盟主ソ連も、どちらもラテンアメリカをコントロールしようとするところは同じである、とキューバの大臣でソ連に対する立場があるにも関わらずスパッと言い切るところは、信念の人なのだと感じさせます。しかし一方で、その意思を貫徹するための方法が最後までゲリラとして戦うことであり、ボリビアでは外国人であるにも関わらず(そしてアルゼンチン人のゲバラも外国人がリーダーではボリビア人が団結して革命に到達することは難しいと感じていただろうにも関わらず)ゲリラを率いて、最後は捕まって殺されるあたりは、なぜそこまでして失敗する蓋然性の高いボリビアで戦い抜くことに執着したのか、疑問を感じます。私には、どこか死に急いでいるように思われたのですが、、。ゲバラに関する本はこの一冊しか読んでいないので、云々と言えるほどの知識はないのですが、この本の感想としてはそのように感じました。

さて、サンタクララの後はハバナに向かってハイウェイを飛ばして行きます。キューバのハイウェイは、車線数が多く(片道4車線ぐらいあったはず)、よく舗装されていて非常に立派です。しかし、車はあまり走っていません。途中で、ドライバーのおじさんが電話をいじって両手を離して車を運転し、車が中央分離帯の方にぶーんと曲がっていってしまったことがあったのですが、乗っている私たちは別に恐くありません。なぜなら、見通しのよい直線のハイウェイで前にも後ろにも対向車線にも見渡す限り一台も車がいないので事故の起こしようがないからです。

f:id:career-mountains:20130706124434j:plain
(大雨で前方が非常に見えにくくなったこともありましたが、「他に車がいないから大丈夫」。確かにその通り)

そしてハバナまで1時間程度のところまで来て休憩所に止まっていたときのこと。私たちが食べ物を買って戻ってくると、おじさんが髪をキチッと決めてサングラスをしたナイスガイを僕らに紹介してくれます。「彼の車でここからハバナまで行ってもらっても?話はしてあるから、ハバナについたら彼に100CUCを渡してくれ」え、選手交代?、、聞いてないけど、おじさんが交代したいと言うのだから、まあいいか。しかしそのナイスガイ、おじさんに僕らの宿の場所を一生懸命質問しており、おじさんが「○×通りを曲がってどうのこうの」と丁寧に説明しています。ううむ、このナイスガイ、どう見てもタクシードライバーじゃない。

おじさんは中国車を時速120kmで飛ばし続けてここまで来たのですが、明らかに道を知っておりハンドルさばきもうまくプロのドライバーです。ただ、おじさんの運転している車がタクシー用のナンバープレートではなくレンタカーのナンバープレートであったのは気になるところで、本当におじさんがタクシードライバーとして政府に税金を払っているかは疑問でした。そして、交代したナイスガイに至っては、車のプレートの種類は自家用車で、明らかにタクシードライバーではありません。ナイスガイはハイウェイの途中で検問に引っかかり、外で警察官とごにょごにょとずいぶん話していましたが最後には戻ってきました。。。賄賂でも渡したんかな?ううん、わからん。まあ、無事ハバナに帰って来られたから良しとするか、、。というわけで、私たちは最後、ナイスガイが運転する目新しいプジョーに乗ってハバナに帰ってきました。プジョーだよプジョープジョーを持っているお前はいったい何者なんだ。

ハバナの名物ショー、トロピカーナ

ハバナでRobertoの宿に再び到着。一応、トリニダーで宿を予約したはずのRobertoの友人が迎えに来なかった愚痴を言っておきます。「おい、お前の友人バス停にいなかったぞ」「え、でもうちに(確認の)電話しなかったじゃないか」「したけれども、奥さんしかいなかったからスペイン語がわからなかったんだ」「俺の携帯電話に電話しろよ」「したけど不在だったぞ」「お、そ、そうか。でも、友人の宿は25CUCだったんだぞ。宿はいくらだった?」「15CUCだ」「(え!15CUC!それは安いな、、)そ、そうか。。」Robertoよ、考えていることが見え見えだよ。がんばれRoberto、競争が激しくなったら負けちゃうぞ。

さて、この日の夜はトロピカーナというハバナの有名なキャバレーショーを見に行きます。お土産のハバナクラブと葉巻がついて、お値段はひとり85CUC。会場はハバナの西の方にあるのですが、そのあたりでタクシーを拾ったら片道10CUCで送ってくれました。

f:id:career-mountains:20130706192314j:plain
(トロピカ〜ナ〜トロピカ〜ナ〜)

ショーの内容は、豪華絢爛な踊り子たちが生演奏に合わせて踊りまくるというもので、露出度は高めであります。たまに、どんな格好だ?という感じの踊り子も出て来て、特にこのシャンデリアガールは「おお!?」という感じです。個人的には踊り子もさることながら、音楽がかなりツボでして、特にショーの真ん中あたりで大御所っぽい歌手達とサブちゃん(注:私たちが勝手にサブちゃんと読んでいるだけ)が歌う「ハバナの夜」(注:私たちが勝手に名付けた曲名)が私は大好きです。いまでも、公演のDVDを会場で買わなかったことをいたく後悔しており、とりあえずYou Tubeで公演の映像をあげてくれている人がいるのでそれを見てお茶を濁しています。誰か、トロピカーナに行ったら私に公演のDVDを買って来てください!!(ただし、大御所たちのハバナの歌がDVDに含まれていることを確認した上で!)

パリでムーランルージュを見たことがある妻によると、トロピカーナは若干洗練度に劣るということですが、カリブやラテンの音楽中心のこちらのショーは私としてはツボです。ただ、本当にこれがキューバ音楽てんこもりのショーかと言われるとそれはかなり「?」で、革命前のアメリカの香りがかなりします。値段設定やそれなりのお客さんの入り方からして、このショーがキューバにとって非常に重要な外貨収入の手段であることは間違いないわけですが、社会主義国キューバがお金を稼ぐ大きな手段がカネの力を感じさせる華やかなショーであるというのは大きな皮肉に思えてなりません。あと、このキャバレーの受付のオペレーションは壮絶に効率が悪く、競争がないと組織は基本的に改善されないのだなあと実感させられます。

なにはともあれ、ショーや金管の音楽が好きな方は、値段は高めですが行ってみて良いんじゃないかと思います。ただし、「本場のキューバ音楽に触れたい!」という場合は、別を探した方が良いでしょう。You Tobeで映像も見られますが、予習なしで行っていただきたいところです。

さて、明日はいよいよキューバとお別れです。キューバ総集編に続きます。