メキシコシティ(2)〜メキシコの歴史とメキシコシティのメガシティぶりを実感する
(6月30日)
メキシコシティの気持ちの良い朝
この日は日曜日。朝から、メトロ一号線に乗ってメキシコシティの西のChapultepec公園の中にある国立人類学博物館を目指します。地下鉄の乗車運賃は激安で、(たしか)US30セントぐらい。メキシコシティは、移動も食費も全体的に物価が安めで、遺跡や観光施設も入場料が安いか無料のところが多いです。日曜日の地下鉄は平和な雰囲気。後日メキシコシティ出身のBooth生に聞いたところ、ロレックスをじゃらじゃらさせながら乗ったりしなければ基本的に地下鉄は安全だそうです。
駅を降りたあと、イベントを警備するいかつい見た目の親切な警官に道を尋ねたりしながら、広大な公園内の博物館を目指します。公園は非常に綺麗で、日曜日はジョギングをする人もたくさん。メキシコシティが豊かな都会であることが理解できます。
(ここまで整備された立派な公園はなかなかありません)
余談ですが、メキシコシティは北緯19度の標高2000mの場所にあり、年間を通じて暑すぎず寒すぎずというとても良い気候です。空気もわりと乾燥しており、夏のこの時期でも気持ちよく過ごすことができます。そんな気持ちの良い朝に、緑豊かな都会の公園を歩くのは爽快です。
国立人類学博物館〜メキシコの歴史の奥深さを学ぶのに最適な場所
さて、国立人類学博物館はメキシコのスペインによる征服以前の重要な文化財などを集めて展示している施設です。多くの収蔵品がありますが、目玉の展示は、紀元350年から紀元650年の間に栄えたテオティワカン、マヤ文明、そしてアステカ帝国の発掘品の数々です。
この博物館はとてもよく出来ていて、多くの方にオススメできます。この博物館の良い点は、大きく2つあります。まず、各文明の発掘品を展示するだけではなく、当時の装飾や色を再現した巨大な遺跡の壁の復元や、当時の人々の生活を表現したジオラマなど、各文明の特徴や実際を生き生きと感じることができる展示が多くあってとてもわかりやすいです。第二に、それぞれの文明の特徴や歴史、社会の成り立ち、他の文明との関わりなどがわかりやすく解説されており、メキシコの歴史を学ぶことができます。例えば、アステカは農産品や商品などそれぞれに特化した複数の市場がある商業都市であり、再現された市場の様子とアステカ全体の復元ジオラマを見て、解説を読むと、今のメキシコシティに昔はこのような社会が存在したのだと実感することができます。
(テオティワカンの発掘品。テオティワカンにもアステカにも生け贄の風習があり、骸骨をモチーフにした多くの発掘品を見る事ができる)
(有名なアステカの太陽の石。発掘された当初はカレンダーと考えられていたが、実際にはこの上で祭事(か決闘)が行われていた(という話だった気がする))
レフォルマ通りでメキシコシティの発展ぶりを実感する
メキシコシティは西に新市街(ソナロッサ)、東に旧市街(セントロ)があり、この東西をレフォルマ通りという非常に大きな通りが結んでいます。博物館は新市街よりも西にあるため、ここから旧市街の方向へ新市街を抜けてひたすらレフォルマ通りを歩いて行きます。
(レフォルマ通りには、多くのモニュメントがある。これは、独立を記念する像。裏には大きなHSBCのビル)
泊まっているセントロは活気ある古い街並みですが、新市街には高層ビルが建ち並び、金融機関、オフィス、高級ホテル、レストランなどが集中しており、街行く人々も小綺麗な印象。ここが人口2000万人メキシコシティの経済的な中心であることを印象付けます。
ラテンアメリカタワーからメキシコシティを一望する
ディエゴ・リベラ壁画館とオペラ劇場を経て、ラテンアメリカタワーからメキシコシティを一望します。ラテンアメリカタワーでは、チケットを買う時にスペイン語がわからず少し困りましたが、隣にいた親切なおばさまが英語に翻訳して助けてくれました。
(ディエゴ・リベラ壁画館の壁画。この絵は非常に有名で、メキシコの歴史に関わる重要な人物が皆描かれているとか。各人物が誰かの説明もあるのですが、人名を見ても私には何をした人なのかわかりません、、)
(メキシコシティの著名な建築物のひとつ、オペラ劇場。当日はサンティ指揮のトロヴァトーレを上演しており、当日券はないかと聞いたものの売り切れでした)
(ラテンアメリカタワーからセントロのある東側を望む)
(同じく北側。遠くの山の斜面にスラムが見える)
タワーからメキシコシティを見渡した第一印象は、わりときれいな建物(少なくとも旧市街レベルの建物)が非常に広い範囲で広がっているなあということ。日中であれば歩いてまわれる範囲は思った以上に広そうです。一方で、山の斜面にはスラムも見え、2000万人都市の広がりを感じるとともに、さすがにあそこまで行くと危ないのだろうなあと実感します。後日メキシコシティ出身者に聞くと、シカゴと同じようにメキシコシティも場所によって住む人の階層が分かれているそうで、お金のある人はメキシコシティ中心部から少し離れた治安が良く緑もある地域に住んだりするそうです。
人混みの中、目の前でスリを目撃する!
(日曜日も活気のあるレフォルマ通りとソカロを結ぶ通り。しかし、この後に目の前でスリが!)
ラテンアメリカタワーからメキシコシティを一望して満足した後、にぎやかな通りをソカロに向かって歩いていきます。しかし、ここで私たちはスリを目撃しました!私たちの前で、人が詰まっている箇所があり、ずいぶんと歩みが遅いなと思っていたところ、その人混みを一人の少し汚い格好をした男が強引にかき分けて通り抜けて行きます。ずいぶん強引だなと思ったところ、人混みを抜けたその男の手には、男の身なりには不釣り合いな女性のハンドバックが!男は歩きながらハンドバックの中身をさっと確認し、そのまま足早に立ち去って行きました。妻曰く、そのハンドバックはおそらく人混みの中で立ち往生していた女性が片方の肩にぶらんとかけていたバックだろうということ。そして、(これは後から気づいたのですが)おそらくその男は通りを清掃する清掃職員と同じ格好をして、偽装をしていたようです。
これは中南米の旅行全体を通して感じたことですが、シカゴと同じで、原則として人が多い場所は安全、少ない場所は危険です。ただこれは、命をとられるとか拳銃を突きつけられるような危険があるかないかという意味で、逆に人が多い場所は強盗に襲われる危険は低いですがスリや窃盗に合う可能性は高いです。裏を返せば、荷物にさえしっかりと気をつけて周囲に気を配っていれば、人がいる場所は安全ということになります。お気の毒ですが、おそらくすられた女性は現地のメキシコ人で、油断して肩からぶらりとかばんをさげていたのでしょう。人混みの中で油断しては、いけません。